25;科学的根拠に基づくシックハウス症候群に関する相談マニュアル(改訂版) | 化学物質過敏症 runのブログ

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3.3.2. ダニ・微生物 

a. ダニアレルゲンとその他のアレルゲン 

室内環境中のアレルギーの原因である様々なアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)はシッ クハウス症状に関与していると考えられます。

シックハウスへの関与のタイプとしては、室内環境 の悪化が根本にあるとしても、単独のアレルギーと診断できるものもあれば、複合的に症状の原因 となっている場合があると考えられます。

日本国内におけるアレルギーの原因の代表となるダニは チリダニで、ハウスダスト(家のほこり)アレルギーの原因となります。ハウスダストアレルギー は通年的に生じるアレルギーであり、主に気管支喘息やアレルギー性鼻炎を生じます。

チリダニは 温暖湿潤な気候の地域に多く分布しています。

気温約 25°C、相対湿度 75%前後で最も良く繁殖し、 相対湿度が 50%以下になれば繁殖できなくなります。

栄養分として室内塵中のヒトの皮屑、真菌 (カビ)、食品カスを摂取しています。

ダニから排出される糞や屍骸の破片中に含まれる成分がア レルゲンとなります。 

その他、ゴキブリや家の中で飼うイヌ、ネコ、ラットなどのげっ歯類等がアレルゲンとなり健康 に影響することがあります。 

 

b. 真菌(カビ) 

室内に一定量の真菌が存在することは避けられません。

また、真菌の気中真菌濃度は、外気中が 室内中より高濃度であることが一般的です。

そのため、換気により外気からの取り入れの影響を受 けます。

しかながら、外気中と室内の真菌の組成は異なって、特にペニシリウム属は室内に多く認 める菌になります。

また、室内気中真菌の濃度も季節変動があり、一般に春・秋に高く、冬に低く なります。

真菌の発生しやすい環境は、(1)高湿度(相対湿度 80%以上)、(2)温度が 25~35°C、(3)有 機物の多い汚れの存在、(4)長期間利用のない場所、(5)空気の流れがない、(6)家塵が多い、(7)結露 が生じる、などがあげられます。 

真菌の健康影響については、真菌自体が感染症の原因となりますが、免疫状態が正常の一般の方 に気中の真菌のばく露により真菌感染症が生じることはまれです。

シックハウス症状への関与とし て、ひとつには真菌アレルギーの影響が考えられ、真菌がアレルゲンとなり気管支喘息、アレルギ ー性鼻炎、アトピー性皮膚炎発症の原因となることがあります。

また、真菌由来の成分による影響 として、微生物由来揮発性有機化合物 (Microbial Volatile Organic Compounds: MVOC)のような刺激性 の化学物質を産生することがあり、その他マイコトキシンというカビ毒を産生します。

また菌体成 分由来の 1→3-β-D-グルカンも刺激性があり呼吸器などに健康影響を生じる可能性があります。 

 

c. 細菌 

人の皮膚やペットなどを由来とする細菌が室内に存在します。

室内環境の細菌による重症の感染 症として(シックハウス関連病とも分類されます)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)細菌によるレジオネラ感染症による肺炎を生じる細菌感染症があげられます。

レジオ ネラ菌は空調の冷却水、循環式給湯器、加湿器等の水で増殖し、症状は、全身倦怠感、筋肉痛、発 熱、咳、呼吸困難、意識障害を生じます。

細菌が産生するエンドトキシンによる健康影響も考えら れており、エンドトキシンの吸入が喘息、発熱、筋肉痛を生じることが報告されていますが、逆に 適度なばく露によりアレルギー性の喘息を減少させる可能性も報告されています。