24;科学的根拠に基づくシックハウス症候群に関する相談マニュアル(改訂版) | 化学物質過敏症 runのブログ

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床材などの内装材に用いられ る PVC には、フタル酸エステル類の中でも、生産量・流通量ともに多い DEHP や、BBzP が主な可塑 剤として含有されています。

一般住宅の約半数が PVC 製の床材を使用しているスウェーデンでは、 DEHP や BBzP がハウスダスト(家のほこり)中から検出され、フタル酸エステル類のばく露源とな っています。

また、スウェーデン、ブルガリア、デンマーク、および台湾の研究から、喘息や鼻炎、 湿疹がある子どもが住む家では、ハウスダスト中のフタル酸エステル類 DEHP、BBzP 濃度が、症状の ない子どもが住む家よりも高いことが報告されました。

日本で居住者のアレルギー有病率とダスト 中フタル酸エステル類、リン酸トリエステル類濃度との関連を調べた研究では、フタル酸エステル 類については、喘息で DiBP および DnBP 濃度が高いこと、アレルギー性結膜炎で DEHP 濃度が高いこ と、アトピー性皮膚炎で DiBP、BBzP、DEHP 濃度が高いことがリスクを上げる関連性が認められまし た。

リン酸トリエステル類においても、喘息と TNBP 濃度が高いこと、アトピー性皮膚炎は TCiPP、 TDCiPP 濃度が高いことがリスクを上げる関連性が見られました。

また、14 歳以下の「子ども」と 15 歳以上の「大人」を層別に解析したところ、子どもでよりはっきりとしたフタル酸エステル類ば く露とアレルギーとの関連性が認められました。

さらに、これらのアレルギーとフタル酸エステル 類、リン酸トリエステル類濃度との関連性は、棚から収集したダストよりも床から収集したダスト で関連性が強く、日本では、床に座ってくつろぐ習慣があることから、床のダストの影響をより強 く受けている可能性が考えられました。 

これまでのところ、個別の症例でフタル酸エステル類やリン酸トリエステル類がシックハウス症 候群やアレルギーの原因と確定された報告はありませんが、フタル酸エステル類やリン酸トリエス テル類は室内環境汚染物質といえます。

フタル酸エステル類やリン酸トリエステル類のばく露を軽 減する対策としては、一般的には PVC やプラスチック製品、香料を含む化粧品や住宅用洗剤などの 不必要な使用を控えることが望まれます。

また、吸着しているダストを掃除機などでこまめに取り 除くことが最も有効な方法で、これはダスト中のダニアレルゲンの除去にも共通する対策です。

加 えて、手に付着したフタル酸エステル類やリン酸トリエステル類の除去には手洗いも有効です。

シ ックハウス症候群やアレルギーの訴えがある家では、特にこれらの化学物質にさらされることを最 小限にするための対策として大切です。 

部屋の中でダストがたまりやすい場所をイラスト(図 3.3.5.)にしましたので、参考にしてくだ さい。 

その他の化学物質 VOC 以外の化学物質として、室内の SO2、NO2、CO2 濃度が高いことがシックビルディング症候群の リスク要因となることが海外の疫学研究により示されています。

室内の SO2 濃度が高いことが粘膜、 皮膚、一般症状のリスク要因となること、また、NO2 濃度が高いことが粘膜症状のリスク要因となる ことが報告されています。

NO2 については室内を離れることでその症状が改善するという報告もあり ます。

CO2 に関しては、スウェーデンの大学生 355 名を対象にした介入研究において、教室の換気率 を高換気率と低換気率に調整した教室に一重盲検法で学生を割り付け後、教室内の室温、相対湿度、 ホルムアルデヒド、CO2、NO2、O3 濃度、PM10 等の環境測定が行われました。

学生は教室内にいた1時 間の症状を 7 段階のスケールで評価し、高濃度の CO2 すなわち低換気率と高温度であることが、眼、 鼻、喉、呼吸器、頭痛、疲労の症状のリスク要因となることが示されています。