・9.物理的及び化学的性質
物理的状態
形状 液体 (Ullmanns(E)(2003))
色 無色 (Ullmanns(E)(2003))
臭い 強い刺すような臭い (ホンメル (1996))
臭いのしきい(閾)値 データなし。
pH データなし。
融点・凝固点 -75℃ (Ullmanns(E)(2003))
沸点、初留点及び沸騰範囲 116℃ (Ullmanns(E)(2003))
引火点 19℃ (ホンメル (1996))
蒸発速度(酢酸ブチル=1) データなし。
燃焼性(固体、気体) データなし。
燃焼又は爆発範囲 上限:10 vol.% (IUCLID (2000))
下限:1.3 vol.% (IUCLID (2000))
蒸気圧 17.6mmHg25℃(exp) (Howard (1997))
蒸気密度 3.00 (air=1) (HSDB (2007))
密度 0.88g/cm3 (Lide (90th, 2009))
溶解度 水:僅かに溶解、1400mg/L(25℃)(est) (HSDB (2007))
n-オクタノール/水分配係数 2.26 (est) (HSDB (2007))
自然発火温度 425℃ (ホンメル (1996))
分解温度 データなし。
粘度(粘性率) データなし。
その他のデータ 水に溶けないで、激しく反応する(ホンメル(1996))。
10.安定性及び反応性
反応性 この蒸気は空気とよく混合し、爆発性混合物を生成しやすい。
加熱により重合することがある。燃焼すると分解し、有毒な気体(窒素酸化物、シアン化水素など)を生じる。
強酸化剤、水と激しく反応する。
水に混和せずに激しく反応し、気体を放出する(IMDG(2008))という情報がある。
安定性 加熱により重合することがある。
危険有害反応可能性 引火性が高い。加熱すると、破裂の危険を伴う圧力上昇が起こる。
蒸気/空気の混合気体は爆発性である。
加熱により重合することがある。燃焼すると分解し、有毒な気体(窒素酸化物、シアン化水素など)を生じる。強酸化剤、水と激しく反応する。
避けるべき条件 裸火禁止、火花禁止、禁煙。
強酸化剤、水と激しく反応する。
混触危険物質 強酸化剤、水と激しく反応する。
この蒸気は空気とよく混合し、爆発性混合物を生成しやすい。
危険有害な分解生成物 燃焼すると分解し、有毒な気体(窒素酸化物、シアン化水素など)を生じる。
11.有害性情報
急性毒性
経口 ラットのLD50値として、360mg/kg、 600mg/kg,、400-1600mg/kgが報告されている(SIDS (2005))。GHS分類:区分4
経皮 ウサギの試験で、死亡が認められた最低用量は700 mg/kgと報告されている(SIDS (2005))が、このデータのみで区分を特定できない。GHS分類:分類できない
吸入:ガス GHS分類:分類対象外
吸入:蒸気 ラットのLC50値は0.059 mg/L/4h(14.55 ppmV/4h)(OECD TG403; GLP準拠)である(SIDS (2005))。飽和蒸気圧濃度の90%以下より、気体の基準値採用。GHS分類:区分1
吸入:粉じん及びミスト データなし。GHS分類:分類できない
皮膚腐食性及び刺激性 ウサギの耳に試験物質原液0.5mLを15分または30分間の閉塞適用後、症状はより重度となり、1~2日目に皮膚の穿孔が見られた。7日目の観察期間終了時には皮膚の落屑が観察され、強い腐食性(highly corrosive)との評価がある(SIDS (2005))。GHS分類:区分1
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 ウサギの結膜嚢に0.1mLを適用直後から明瞭な結膜水腫を伴った強い発赤が現れ、7日間の観察期間終了時まで持続した。散在性の角膜混濁が見られた観察期間の初日を除き、その後は結膜浮腫のため角膜と虹彩の検査は実施できず、強い腐食性(highly corrosive)との評価がある(SIDS (2005))。GHS分類:区分1
呼吸器感作性 モルモットに吸入ばく露し、ウシ血清アルブミンとブチルイソシアナートの抱合体で誘導後、惹起反応は一過性であり強いものではなかったと報告されている(SIDS (2005))が、適切な動物モデルではない。GHS分類:分類できない
皮膚感作性 モルモットのマキシマイゼーション試験において、惹起後15匹全例に明瞭な紅斑、一部の動物では軽度の浮腫も認められ、陽性率100%(15/15)で感作性あり(sensitizing)との報告がある(SIDS (2005))。GHS分類:区分1
生殖細胞変異原性 in vivo試験データがなく、分類できない。なお、in vitro試験として、エームス試験で陰性、およびマウスリンパ腫L5178Y を用いた遺伝子突然変異試験で陽性が報告されている(SIDS (2005))。GHS分類:分類できない
発がん性 データなし。GHS分類:分類できない
生殖毒性 データなし。GHS分類:分類できない
特定標的臓器毒性(単回ばく露) ラットに吸入ばく露により、0.007 mg/L/4h(蒸気)以上の濃度で徐呼吸、呼吸困難、努力性呼吸、チアノーゼなどの気道刺激性を示す症状が用量依存的に現れた。0.056 mg/L/4h(蒸気)以上では死亡の発生に加え、剖検により肺水腫や水胸などが観察され、投与後の観察期間終了時において肺の明瞭な剖検所見が肉眼的に確認できた唯一の影響であったと記載されている(SIDS (2005))。ラットに0.008~0.050 mg/L/4h(蒸気)を吸入ばく露した別の試験では、主に気道に影響が見られ、0.050 mg/L/4hでは気道の病変により動物が死亡し、0.025 mg/L/4h以上の濃度では組織学的変化としてマクロファージの増加、脈管周囲の円形細胞浸潤、限局性線維増殖反応、気腫、隔壁肥厚、膿瘍性肺炎が見られ、0.008 mg/L/4hでは徐呼吸、粘膜刺激が観察されたと報告されている(SIDS (2005))。ラットに単回経口投与した試験でも呼吸器系に関連する症状として、200 mg/kg以上で努力性呼吸、チアノーゼなどが観察されている(SIDS (2005))。GHS分類:区分1(呼吸器系)
特定標的臓器毒性(反復ばく露) データ不足。なお、雄ラットに1~25 mg/m3の濃度を吸入ばく露により、5 mg/m3で重大な毒性影響は見られなかったが、5 mg/m3以上では気道炎症の証拠として気管支肺胞洗浄液の生化学的、細胞学的変化が認められたとの報告がある。(SIDS (2005))。GHS分類:分類できない
吸引性呼吸器有害性 データなし。GHS分類:分類できない