・広範な作用をもつ殺虫剤の予防的使用(種子コーティングなど)は、長期にわたり確立した総合的有害生物管理(IPM)の原則およびIPMを義務づけることを採択したEU指令に反するものである。
低濃度のネオニコチノイド系殺虫剤に害虫が持続的に曝露すると、すでに重要な害虫数種で発現しているごとく抵抗性が発生する可能性が非常に高い。
害虫駆除に浸透性殺虫剤が非常に有効であっても、現行のネオニコチノイド系殺虫剤の使用は不要であり、ほぼ無益に等しいという営農組織による明らかな証拠がある。
現在、農業従事者が作物栽培に関する助言を受けられるのは主に農薬会社からであり、この状況は農薬の過剰な使用や不適切な使用につながる可能性がある。
なかんずく、これら残留性および水溶性がある殺虫剤の広範な使用が、世界的な生物多様性に長期の影響を与え、食糧の安全保障や持続可能な生産に不可欠な花粉媒介などの生態系サービスに多大な悪影響を及ぼすことを示す有力な証拠がある。
これらの殺虫剤の使用を減らし、世界的な生物多様性をこれ以上損なわず、全人類が依存する生態系サービスを弱めさせないため、食物生産及び害虫防除の方法を持続可能なものに切り替えることが急務である(van der Sluijs et al. 2014)。
浸透性殺虫剤のネオニコチノイド系殺虫剤およびフィプロニルは、広範な作用をもつ殺虫剤の大量の使用が生態系機能および生態系サービスの損失をもたらす危険性を考慮しない規制当局による農薬審査および認可手続きの明らかな欠点について新たな章を提示している。
我々は過去の過ちから学習する能力を著しく欠いている。
謝辞 本稿は、国際的な浸透性殺虫剤タスクフォースのパリ(2010)、バース(2011)、ケンブリッジ(2012)、モンテグロット、パドバ(2012)、ルーヴァン=ラ=ヌーブ(2013)、レニャーロ、パドバ(2013)での総会での議論により有益な示唆を得た。
この仕事は、the Triodos Foundation’s Support Fund for dependentResearch on Bee Decline and Systemic Pesticides.により資金提供を受けた。
この支援基金は、Adessium Foundation (オランダ), アクト・ビヨンド・トラスト(日本), ユトレヒト大学(オランダ),Stichting Triodos Foundation (オランダ), Gesellschaft erSchmetterlingsschutz (ドイツ),M.A.O.C. Gravin van Bylandt tichting(オランダ), Zukunft Stiftung Landwirtschaft (ドイツ), StudyAssociation Storm (Student Association nvironmentalSciencesUtrecht University), Deutscher Berufs- und rwerbsimkerbund e. V.(ドイツ), Gemeinschaft der europaischen Buckfastimker e. V. (ドイツ) と市民の寄付により賄われた。
寄付者は、研究のデザイン、データ収集、分析、出版の決定、原稿の作成に一切関与しなかった。
我々は、ESPR編集長のフィリッペ・ギャリグーと編集者エマニュエル・ピグナール-ペグーの本特集準備中の助力に深く感謝する。
査読過程はESPR編集長により統括され、シュプリンガーの厳格な倫理ガイドラインに従い、中立の査読者がESPRの編集者により選ばれた。