・農地に処理種子を蒔く際に上がる土ぼこりは飛翔昆虫にとって致死的で、ミツバチ群の急激な大規模な喪失を引き起こしている。
葉面散布に用いると、飛散した殺虫剤は非標的昆虫に対して強い毒性を持つと考えられる。
畑の周囲や生け垣、あるいは汚染水路の近くで成長する作物以外の植物は、農地に種子をまく際に上がる土ぼこりや散布による飛散、あるいは汚染水によってネオニコチノイド系殺虫剤に汚染される可能性がある。
このことは農地に生息するさまざまな非標的草食性無脊椎動物に多大な影響を与える可能性がある。
・ネオニコチノイド系殺虫剤とフィプロニルは、トウモロコシやアブラナ、ヒマワリなどの処理作物、および農地に生息する野草の花蜜や花粉に認められる。
又、多くの作物からにじみ出た溢液からも、さらに高い濃度で検出されている。
ハチでは、このような汚染食物の摂取により、学習および移動能力の減退、致死率の上昇、免疫系不全による罹病率の上昇、繁殖力の低下が生じ、マルハナバチでは、群レベルで影響を受ける明らかな証拠がある。
他の花粉媒介者についての研究はない。
農場のハチは同時に多数の異なる農薬に曝露しており、中には相乗的に作用するものもある。
このような非標的昆虫の複数の農薬への長期曝露の影響は、農薬取締のための試験では取り組まれておらず、ほとんど理解されていない。
・脊椎動物は節足動物より被害を受けにくいが、種子食の鳥類や哺乳類では少数の処理種子の摂取により直ちに死に至る可能性が生じる。
なぜなら、このような鳥にとってはこぼれた種子をほんの数個食べただけで致死量に達するからである。
低用量で現れる症状は、嗜眠、生殖能力の低下、免疫機能障害などである。
さらに、食糧となる無脊椎動物が減少すると、節足動物から脊椎動物まで広範囲の捕食性の動物に間接的な影響を及ぼすと考えられる。