〔2007年12月議会での3回目の質問〕(07.12.12)
樹木害虫防除について
都市樹木害虫防除検討会の会議録によれば、今2007年度の防除にあたって、委員間でかなり激しい議論が展開されたことが伺われます。初期段階の発見と効率的な防除を行いたいとする市の新たな方針が示されたことに対し、捕殺防除を基本とすることが継続されるのかどうかをめぐる議論です。
もし、「効率的な防除」が農薬散布に自由度を与えることであれば、環境汚染とりわけ環境ホルモンによる人体への悪影響、化学物質過敏症の発症リスクを高めることになります。
厚生労働省は、2006年3月の国会において、「有機リンは急性中毒の他情動や精神活動など高度な脳機能に慢性的な障害を引き起こす恐れがある」と公式に答弁し、5月より農薬のポジティブリスト制度を導入して、一律に基準値を設定しました。
2003年の農水省通知「住宅地等における農薬使用について」に続く国の顕著な動きです。
そこで、まず、今年度の樹木害虫防除の具体的な方針について改めてお尋ねし、捕殺防除がどのように位置付けられていたのかをお聞かせ下さい。
さて、本市が使用するトレボン乳剤はピレスロイド系の農薬ですが、除虫菊由来のピレトリンと言えども呼吸器系への障害が報告されているほか、殺虫効果を高めるために化学合成したピレスロイドには、発達中の神経系、成熟した神経系への悪影響、免疫系、内分泌系への悪影響がやはり指摘されてきました。
都市整備常任委員会に報告された今年1化期までの散布量データによれば、合計散布量は増え続け、一斉散布を行っていた2000年度の一割前後という状況になっています。
今年度1化期では、町会関係では前年比の5.17倍、市有施設では3.32倍で、とりわけ市有施設分は対2000年度比48%の水準にまで達しているわけです。
この散布量の増加傾向をどう受け止めておられるのか、また、来年度の具体的な防除方針がどう検討されているのかについてもお答え下さい。
次に、多くの子どもたちで賑わう21世紀美術館は、館内施設に加えて樹木と広い芝生を管理しています。
害虫駆除には、どのような配慮を加えておられるのかお尋ねします。
また、地域によっては、薬剤散布を求める圧力が未だに高いとも側聞します。
薬害や化学物質過敏症に対する意識啓発は、十分に効果を上げてきているのでしょうか。
さらに、潜在的には10%程度存在していると推計されている化学物質過敏症患者の実態は、本市に於いてどの程度把握されているのでしょうか。
防除作業従事者の暴露防止対策も重要です。私が面談したある患者さんは、依然として症状が重く、医療・保健機関の支援を必要とされております。
前回の質問の際に、私は呼吸器系に専門機能を擁し、総合病院である市立病院に化学物質過敏症の診療部門を立ち上げることを提案しました。
環境ホルモンの問題がこれほど注目され、化学物質対策が急務とされている今日、医療・保健機関とも連携し、発症者の実態把握、専門相談、治療にわたって、積極的な支援施策が講じられるべきであると考えます。
この件について再度見解を伺います。
この項の最後に、住民の樹木害虫への過剰な反応を防止するには、幼少の頃から昆虫等に親しませることが有効であるとも指摘されています。
生態系や虫を理解する教育を行い、不必要な農薬散布を排除する市民意識を育てることも大切です。教育委員会とも連携して、学校現場に資料提供を行うなどの支援を提案してきました。
検討の状況はいかがでしょう。