1.2.2.香料の製造管理および品質管理に関する自主基準(香料GMP)
香料GMPは、IFRAの「Code of Practice」に準拠して日本香料工業会(JFFMA)によって定められた日本における自主基準である。
その中には、香料の安全性を確保するために、安全性基準を以下のように設けている。
(1)使用経験からの安全性基準
・歴史的に使用経験の豊富な香料材料:安全性を疑う情報がない限り安全とみなす
・使用経験の乏しい香料材料:安全性を確認の上で使用する
(2)皮膚接触の可能性による安全性基準
通常使用では皮膚に触れない最終製品(例:芳香剤類、殺虫剤、線香など)に用いる香料素材の量規制は、皮膚に触れる最終製品(例:化粧品類、洗剤類など)より緩やかになる。
(3)皮膚接触時間による安全性基準
洗い流す最終製品(例:石鹸、シャンプー、リンスなど)に用いる香料素材の量規制は、長時間接触している最終製品(例:クリーム、化粧水など)より緩やかになる。
(4)ガイドライン
上述した安全性基準に沿う形で、品目ごとのネガティブリストを作成してガイドラインとしている。
リストは必要に応じて適宜改定される。2003年11月時点での内訳は、禁止品目62品目、数量制限品目49品目、規制品目(その他条件付)14品目である。
量的な規制は、最終製品中と調合香料中の最大許容濃度で示している。
光毒性を理由に数量規制されている化合物は、浴用製品など洗い落とす製品に用いる場合には規制がおおむねなくなる。
光毒性を有する香料素材を組み合わせて使用する場合は、総量としての数量制限となる。
各香料素材の規制限度率をそれぞれ次式で算出し、それぞれの香料素材の規制限度率の総和が100を超えてはならないと定めている。
規制限度率(光毒性)={実際の使用濃度(%)/最大許容濃度(%)}×100
1.3.欧米における規制
2006年現在、米国では香粧品用香料そのものを国レベルで規制する法はない。
欧州では、EU化粧品指令で一部規制している。
1.3.1.EU化粧品指令:76/768/EEC
EU化粧品指令:76/768/EECでは、26種の香料についてアレルギー物質としてラベル表示を義務付けている。
ラベル表示の義務は、製品中に使用される原料のなかで、ダイレクトに加えられたものおよび不純物、製造工程中に生成される副生成物、天然精油由来からのトータル量で、肌に残る(Leave-on)製品中に0.001%(10ppm)、洗い流す(Rinse-off)製品中に0.01%(100ppm)を超えた場合に生じる。
また、AnnexⅡには使用禁止物質が、AnnexⅢには使用制限物質が掲載されている。