そのそれぞれが取り組んでいるイソシアネート対策は、単に労働環境規制値を検討するというような通り一遍の方法でなく、非常に毒なものと考えて、地域生活環境の規制も始まっています。
強い過敏性の定義をきめたところもあります。
毒性が弱いものに変えていくことを指導して、既にイソシアネートを使わなくても優れた性能の製品を開発した例も出ています。
国家的なイソシアネート対策は、欧米だけでなく、東南アジアの国でも、欧米に準じた分析技術の採用や、流通日用製品の分析による汚染抑制など、日本より進んでいます。
日本は何もしていない。
分析法も持たないで、調べようもないのに環境にある筈ないと高をくくっている危険な国です。
日本では、近年の化学物質被害はこのようにありました。学物質被害の先進国ですが、未だに、その教訓が生かされず、世界での対策状況にも無関心で、汚染実態調査手段も整えずに、欧米に40年ほども遅れているのに今なお無自覚です。
その例として、PCBの輸入が許可されたのは、世界中で使用禁止が始まる少し前で、世界的な規制が検討されていた最中でした。
輸入されてからPCBの多様な有用さで用途が急速に広がり、信越化学では製造工場を建てましたが、そのわずか1年後に世界中での流通禁止となりました。
工業会では、PCBを利用して開発したばかりの性能の良い製品が売り出したばかりで販売停止され、代わりの製品に材料を選び出すのに困り果てていました。
例えば電車や自動車のブレーキ、コピー用のカーボン紙、生産機械や自動車やパンタグラフの潤滑油などです。
1日も欠かすことが出来ないそれらの用途に最高性能であったそれと同等な性能の材料を新しく急に作り出すのは至難のことでした。
もしも環境行政と工業行政が他国と同等に、国際的な化学物質有害性管理の情報を把握していたら、日本の工業会はあんなに困った事態にはならなかったでしょう。