人口分布と乗用車CO2排出量 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・人口分布と乗用車CO2排出量
特集 都市から進める環境イノベーション
【シリーズ先導研究プログラムの紹介:「環境都市システム研究プログラム」から】
有賀 敏典
 私は、平成23年度から先導研究「環境都市システム研究プログラム」の中で、プロジェクト2「環境的に持続可能な都市・地域発展シナリオの構築」に取り組んでいます。

このプロジェクトでは、環境面から見て望ましい都市の姿を提案することを目的としています。

乗用車から排出される二酸化炭素(CO2)の量は、都市内人口分布に代表されるような都市構造によって大きく変わります。

そこで、プロジェクトの一環として、乗用車からCO2を削減するためには、どのような都市内人口分布が良いか検討しました。

はじめに
 日本のCO2総排出量のうち約2割が運輸部門によるものです。そのうち8割以上が自動車によるもので、自動車から排出されるCO2を削減することは重要な課題になっています。

さらに、自動車は大きく分けて、皆さんが普段利用する「乗用車」とトラックなどの「貨物車」がありますが、今回は自動車によるCO2排出量の過半を占める「乗用車」に着目してみます。

乗用車のCO2を削減するには、徒歩・自転車・公共交通を利用するなどして乗用車の利用を抑える、エコカーを使って乗用車CO2排出量を抑える、といったことがあります。

 今回は乗用車の利用を抑えることが可能かどうかを考えていきます。利用を抑えるといっても、個人の努力だけでは変更は難しいと言わざるを得ません。

なぜなら、車通勤をやめてバス通勤にしようと思っても、時間が何倍もかかってしまったり、バスの本数が極端に少なかったりすれば、変更は現実的ではありません。

そこで中長期的には、現在の住んでいる場所や施設の立地といった都市構造を変えてゆき、車に過度な依存をしなくても生活ができる都市に誘導していくことが、乗用車からのCO2排出削減に有効であると考えられます。

 このように、都市構造をコントロールすることは乗用車からのCO2排出削減に有効であるという認識はあるものの、実際に日本全国の各都市で都市構造を中長期的に変更することでどの程度CO2排出量の削減が期待できるのかは十分には推計されていませんでした。

そこで私たちの研究では、都市構造を表す代表的な指標である人口分布に着目し、1980年から2005年の人口分布と乗用車CO2排出量の関係を定式化し、2030年の2つの人口分布シナリオについて乗用車CO2排出量がどのように変わりうるかシミュレーションを行いました。

使用データと分析概要
利用したデータは以下の3つです。

a) 過去6時点(1980~2005年)の全国市町村別年間乗用車CO2排出量
道路交通センサス・自動車起終点調査という全国の自動車の動きを調査したデータから、車両が登録されている市町村毎に、推計したものです。

b) 過去6時点(1980~2005年)の国勢調査全国3次メッシュ人口
国勢調査の人口を3次メッシュ別(日本全国を約1km×1kmに分けたもの)に集計したものです。

c) 2030年の偏在化・均一化別全国3次メッシュ人口
市町村の人口は同じで市町村内の人口分布が異なる2つの人口分布シナリオです。近年全国市町村で見られる人口分布変化の対極的なパターン(偏在化・均一化)をコーホート変化率法という手法で将来に適用し、起こりうる可能性が高い2つのシナリオを構築しています。
 このうち a) と c) は国立環境研究所で作成したもので、国立環境研究所ホームページのコンテンツ「環境展望台」で公開しています。

 a) と b) から過去の人口分布と乗用車CO2排出量の関係を分析し、その結果と c) から将来起こりうる人口分布シナリオを乗用車CO2排出量の観点から評価します。

手法としては、前者は乗用車CO2排出量を人口分布で説明するような回帰分析、後者は前者の結果を用いたシナリオ分析を行っています。