変わり続ける化学物質に向き合うために2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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5.複合化合物:複数の化合物の混合汚染での症状は?(M)SDSでも不十分
 実際の製品を構成している複数の材料、各材料を構成している複数の化合物、それぞれの化合物の毒性をSDSで調べる、これだけでもずいぶん環境物質被害の実際が調べられたわけですが、まだ十分ではありません。含まれている複数の化合物が同時にある時の健康影響が単独の場合と同じではないからです。
5.1)加算効果
 真っ先に考えるのは2種類以上の化合物がある場合には、当然ながらそれらが足しあわされただけ有害だということです。

では、一緒にある化合物それぞれの濃度を足し合わせた合計濃度TVOCが合計℃毒性かというと、まずそんな単純な計算ではありません。

化合物同士の反応作用など確かめにくいことの前に、それぞれの毒性濃度を考慮した毒性加算の方程式があります。
1=(存在濃度a÷最低影響濃度a)+(存在濃度b÷最低影響濃度b)+(・)+(・)+・・
に達した時にその空気汚染全体は最低影響濃度に達しる有害性だと単純化した式です。
 実際の場合を計算してみましょう。

トルエンでイソシアネートを溶かした塗料や接着剤があります。

安全データシートSDSでは、イソシアネートモノマーが1%以下ならば混ぜてあることを書かなくてよいことになっています。

では、トルエンに1%のイソシアネートがある時に、トルエン濃度がどれだけになったら有害になるでしょうか、計算してみましょう。

ACGIHの作業環境管理濃度では平均濃度TWAで、トルエン50ppm、イソシアネート0.001ppmですから、他に混入物がない場合には次の式になります。

トルエン濃度をNxとして、
 1=(Nx÷50)+(0.01Nx÷0.001)=Nx(0.02+10)
Nx=1÷10.02 ≒ 0.1
という結果。 

つまり作業環境(週40時間以内、1日以上休日の1日平均濃度)としては、トルエンが純粋な時には50ppmまで、イソシアネートが1%混合している時にはトルエン濃度が0.1ppmまでに管理しなさい、ということです。これは作業環境の管理濃度なので、地域環境や室内環境では2桁ないし3桁低い濃度の0.001ppmのトルエン濃度が検出されても危険信号と考えられます。

イソシアネートは分析でわかり難い物なので、トルエン濃度がこんなに低くてもその空気が危険なことがあるのです。

イソシアネートが1%以下しか混入されていなくてもトルエン濃度が0.001ppm程度より高い地域環境・室内環境では有害の恐れが生じます。
 交渉や裁判や公調委で空気汚染の有害性を立証する時に、この加算の法則を忘れないようにしましょう。

これは世界中で周知の公式で、厚労省のホームページでも説明してあります(わかり難い書き方ですけれども)。
 言い換えると、毒性が強い化合物が少しでも混じっていれば、TVOCが低くてもその空気は有害危険な可能性があるということです。

シックハウス室内汚染の基準をTVOCで検討つけようなどとはもってのほかの提案なのです。

昔と違って、ごく薄くてもごく有害な化学物質が身近な製品に蔓延しているのですから、CSについての考え方も多面的に検討しなくてはならないでしょう。

ごく薄い発症なのだから、化合物の毒性でもアレルギーでも説明できない、室外空気との喚起を良くしなさい、戸外の散歩で良い空気を吸いなさい、という幸せな時代ではなくなっているのです。

 

runより:いきなり5からのスタートですがこの情報が第3部だからです。
1、2部は見つからないですが入手したら掲載します。