自閉症・ADHD など発達障害増加の原因としての環境化学物質13 | 化学物質過敏症 runのブログ

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(2)化学物質への感受性期と発症期,統合失調症との関係と成人病胎児起源説
統合失調症と自閉症は,その関連性が昔から指摘されており,統合失調症患者でみられる「音刺激でびっくりする反応が,その前に予め刺激を与えると抑制される」プレパルス抑制(PPI)の低下が,自閉症児でもみられるという報告がある。

統合失調症研究では澤明(Johns Hopkins 大学)らによる Disc1遺伝子の異常をもつモデル動物が開発されており,小児期以前の神経発達期に原因があるという説が強くなっている。
大隅典子(東北大学)らは,神経毒性のある化学物質(細胞分裂阻害剤 MAM)を使って PPI 低下を示すモデルマウスを作り,4~6 週齢が感受性期であり,その前後の投与では PPI 低下がみられないことを発見した。

これに伴って海馬の神経細胞の分化に異常がおこっており,抑制性の GABA 神経細胞 が 減 少 し て い た。

し か も こ の PPI 低 下 とGABA 神経細胞の減少は,その後マウスを「豊かな環境」におくと回復した。脳の発達障害が毒性化学物質でおこり,その行動異常を指標とすると決まった感受性期があること,しかも「豊かな環境」におくと「治療」できることを示唆する興味深い研究である。
胎児期―小児期の環境要因が原因と考えられるようになった健康問題には,肥満,糖尿病などの「生活習慣病」だけでなく,発達障害,統合失調症,ひいてはうつ病も疑われ,DOHaD(DevelopmentalOrigins of Health and Diseases,成人病胎児期起源説)という概念でまとめられつつある。今後,今までの遺伝要因研究の成果をふまえ,環境化学物質など環境要因の研究が活発になると予測できる。