2.建築基準法に基づくシックハウス対策について
建築基準法では、平成 15 年7月から、ホルムアルデヒドの室内濃度を下げるため、全ての建築物の居室において以下の規制が行われています。
規制対象となる建築材料5には、原則として JIS、JAS 又は国土交通大臣認定による等級付けが必要です。
ホルムアルデヒドの発散が少ない順に、「F☆☆☆☆」、「F☆☆☆」、
「F☆☆」等と等級が付けられ、「☆」の数が多いほど発散量が少ないものになります。
対策Ⅱ.換気設備設置の義務付け
原則として全ての建築物に機械換気設備の設置が義務付けられています。
例えば、住宅の場合、1時間当たり換気回数 0.5 回6以上の機械換気設備の設置が必要です。
対策Ⅲ.天井裏などの制限
天井裏、床下、壁内、収納スペースなどから居室へのホルムアルデヒド流入を防ぐ措置が必要とされています。
建築基準法に基づき、建築物を建築する場合や大規模の修繕・模様替7を行う場合には、その建築物の計画が同法及び関係法令に適合するものであることについて、建築確認や検査8を受ける必要があります。
なお、建築基準法のシックハウス規制が施行された平成 15 年7月より前に着工された既存不適格建築物については、壁紙の張り替えなど内装リフォームを行う場合、上記規制の適用を受けませんが、同様の対策を行うことが望まれます。
5 木質建材(合板、木質フローリング、パーティクルボード、MDF など)、壁紙、断熱材、接着剤、塗料、仕上塗材など。
6 1時間当たりに部屋の空気の半分が入れ替わること。
7 大規模の修繕・模様替とは、建築物の主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根又は階段)の一種以上について行う過半の修繕・模様替のこと。
8 新築等を行う場合に建築計画の審査を受ける「建築確認」、建築物の工事中に受ける「中間検査」、工事が完了した時点で受ける「完了検査」がある。
3.厚生労働省の室内濃度指針値について
厚生労働省は、揮発性有機化合物のうち、ホルムアルデヒドを始めとする 13 種の揮発性有機化合物について、室内濃度指針値9を策定しています(ホルムアルデヒド:100 g/m
3)。
4.住宅の内装リフォームによるシックハウス等に関する事故情報
(1)事故件数の推移
事故情報データバンクには、壁紙の張り替え等、住宅の内装リフォームによるシックハウスやにおい、化学物質に関する情報が平成 21 年度以降平成 26 年 10 月末日までに266 件寄せられています(図1)。
また、この中には、消費者自身が店舗等で購入した壁紙等の建築材料を使用して内装リフォームを行ったことによる事故情報も寄せられています。
(2)主な事例
1)事業者が行った内装リフォームに関する事例
【事例1】
リフォーム業者に居間と子供部屋の壁紙の張り替えをしてもらって以降、頭痛がひどく治らない。張り替え前、業者から「アレルギー物質をブロックする素材を使います。」という説明を聞いていたので安心していたが、臭いがひどく換気してもだめだった。
(受付年月:平成 26 年1月、福島県・30 歳代・女性)
【事例2】
自宅マンションの壁紙とフローリング、台所浴室等をリフォームしたところ、頭痛やめまい等が生じ、皮膚に障害が出た。子供は顔が赤くパンパンに腫れた。実家に転居したところ症状が改善した。
(受付年月:平成 25 年 12 月、大阪府・30 歳代・女性)
9 室内濃度指針値は、その時点での科学的な知見に基づき「一生涯その化学物質について指針値以下の濃度の暴露を受けたとしても、健康への有害な影響を受けないであろうとの判断により設定された値」であり、室内濃度指針値を一時的かつわずかに超えたとしても直ちに健康への有害な影響を生ずるわけではない。
2)消費者自身が行った内装リフォームに関する事例
【事例3】
ホームセンターで壁紙を購入し、寝室の劣化した壁紙の上に張り付けた。
部屋中シンナーのような臭いが漂い、部屋にいるだけで頭が痛くなる。壁紙をはがしてもこびりついた臭いは消えず、マスクをしても寝られない。
(受付年月:平成 24 年5月、埼玉県・男性)