-2:疫学調査による多種化学物質過敏症の有病率把握と発症要因検討の試み | 化学物質過敏症 runのブログ

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・測定方法:
【ホルムアルデヒド・二酸化窒素】パッシブサンプラー(柴田科学(HCHO・NO2 用))を用い24 時間個人曝露平均濃度(個人濃度)と24 時間屋外平均濃度(屋外濃度)を測定した。ホルムアルデヒドは4-アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール(AHMT)試薬、二酸化窒素はザルツマン試薬を用いた吸光光度法により測定した。
【ダニ抗原量】敷き布団から掃除機で採取したゴミ中のDer p1 とDer f1 をELISA キット(INDOORbiotechnologies)により測定し、ゴミ1g 当たりのDer p1 とDer f1 の合計(Der 1)を求めた。
【ニコチン代謝物濃度】バルビツール酸との発色反応物を高速液クロで測定し、コチニンのクレアチニン(Cr)比を求めた。
実施状況
1.第1 次調査
3 歳6 か月児と母親の対象者数は、それぞれ4360名と4325 名、質問票回収者数は2087 名(男1092名、女984 名)と2044 名(平均年齢32.9 歳(18 歳~47歳))で、回収率は47.9%と47.3%であった。

3 歳6 か月児と母親の有病率は表1 に示した。
2.第2 次調査
対象者837 名のうち測定協力者は301 名(平均年齢33.3 歳(20 歳~44 歳))であった。

ホルムアルデヒドおよび二酸化窒素の個人濃度と屋外濃度、敷き布団のダニ抗原量、尿中コチニン濃度の測定結果を表2 に示した。
また、各群の測定結果と対照群との有意差検定結果を表3 に示した。

ホルムアルデヒド個人濃度はアトピー性皮膚炎で有意に高かった。受動喫煙者は、MCS とアトピー性皮膚炎と花粉症で有意に少なく、喫煙者は花粉症で有意に少なかった(表4)。


今後の計画
第1 次調査および第2 次調査の2 年間のデータを統計学的手法により解析を進め、MCS とアトピー性皮膚炎、花粉症、気管支喘息などのアレルギー疾患との関連や、MCS と関連する要因についての知見を得る。
謝辞:本調査には岸和田市立保健センター、岸和田保健所、並びに大阪府環境衛生課の関係各位に多大なご協力を頂きました。

ここに記して感謝の意を表します。
尚、この研究は日本学術振興会科学研究費補助金の交付を受けて行った。