http://jja.jsaweb.jp/am/view.php?pubdate=20070430&dir=2007s&number=07s_gl000P49
一般演題
環境アレルギー,化学物質過敏症1
座長:水城まさみ(国立病院機構盛岡病院臨床研究部(呼吸器・アレルギー科))
P49.化学物質過敏症患者の咳感受性に関する臨床的検討
水城まさみ 山田博之
国立病院機構盛岡病院
カプサイシン負荷による咳感受性はアトピー咳嗽で亢進し,喘息では正常であることが知られている.
しかし他の疾患についての検討は少ない.
化学物質過敏症(MCS)患者は化学物質曝露により多彩な症状を呈するが,タバコをはじめ種々の刺激によって咳が誘発される症例が少なからず認められる.
今回MCS患者に咳感受性検査を実施し,喘息患者と比較検討することにより興味ある知見が得られたので報告する.
対象は当院外来を受診したMCS患者18名(男2名,女16名)と喘息患者19名(男5名,女14名)である.
MCSの診断は病歴,問診表QEESI分類にて行った.
MCSの咳閾値は2.7±3.6μMであり咳感受性亢進とされる男3.9μM以下,女1.95μM以下を基準とすると89%で感受性が亢進しており,喘息では咳閾値が25.5±36.7μMで感受性亢進は21%とMCSで咳閾値は有意に低値であった.
MCSでは咳がなくても咳感受性亢進がみられる症例がある一方で,メサコリン負荷による気道過敏性検査で気道過敏性亢進が認められ喘息を合併している症例が認められた.QEESI分類では「MCSである可能性が非常に高い」に分類される症例でより咳閾値が低い傾向が見られた.
以上よりMCSの診断に対して咳感受性検査は侵襲が少なくかつ客観的指標となる検査法であり,いまだ不明な点が多いMCSの発症機序解明にも有用と考える.
第19回日本アレルギー学会春季臨床大会 2007年6月開催