医学部学生の解剖実習における健康調査の経年変化~アトピー素因と化学物質過敏症状の関与~ | 化学物質過敏症 runのブログ

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http://jja.jsaweb.jp/am/view.php?pubdate=20060430&dir=2006s&number=06s_gl000MS4-2
一般演題
職業・環境アレルギー〔化学物質過敏症を含む〕
座長:土橋邦生1), 長谷川眞紀2)(1)群馬大学医学部保健学科, 2)国立病院機構相模原病院アレルギー・呼吸器科)

MS4-2.医学部学生の解剖実習における健康調査の経年変化~アトピー素因と化学物質過敏症状の関与~

水城まさみ
国立病院機構盛岡病院 臨床研究部

【はじめに】演者は1999年より大分大学医学部解剖学教室と共同で学生の解剖実習における健康調査を継続し本学会にも報告してきた.

当初実習中のホルムアルデヒド(FA)濃度はWHOの作業環境基準を超えるレベルであり,実習中80%以上が眼の刺激感など何らかの身体症状を訴え,アトピー素因を有する者および化学物質過敏(CS)症状を有する者で有意に実習中の身体症状が多かった.

2001年に文部科学省より「系統解剖実習時の環境向上について」の通達が出され,FA使用時には換気扇や空気清浄機で出来る限りの清浄化に努めるように勧告され各大学で取り組みがなされているが,十分とはいえないのが現状である.

【方法】1999年から2005年までの健康調査の経年変化を解析した.2001年には換気改善工事が実施された.

【成績】学生の背景では各年度ともアトピー素因のある者が50%前後,問診票でなんらかのCS症状を有する者は各年度で80~90%と大きな差異はなかった.

換気改善後では改善前と比較して実習中の身体症状はアトピー素因の有無では有意差はみられなくなり,CS症状の陽性項目数とは有意の正の相関がみられた.

【結論】以上の結果よりアトピー素因とCS症状は独立した因子であり,FA濃度の差異により,各々異なった反応をもたらすと考えられる.
第18回日本アレルギー学会春季臨床大会 2006年5月開催