シックハウス症候群・化学物質過敏症 | 化学物質過敏症 runのブログ

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http://jja.jsaweb.jp/am/view.php?pubdate=20050930&dir=2005a&number=05a_el080000
教育講演8
司会者:鳥居新平(愛知学泉大学岡崎キャンパス)

シックハウス症候群・化学物質過敏症

坂部 貢1,2)
北里大学 薬学部 公衆衛生学講座1) 北里研究所病院 臨床環境医学センター2)

 微量化学物質によるシックハウス症候群・化学物質過敏症は,生活環境中の微量化学物質によって多彩な不定愁訴を呈する症候群として,アレルギー的な特徴と中毒的な要素を兼ね備えた病態である.

欧米ではすでに1980年代のより,本症の病態に関する臨床基礎研究の報告が認められ,ホルムアルデヒドに過敏症状を示す患者におけるホルムアルデヒド皮内反応および気中負荷試験の有用性について述べられている.

また本症が同一生活環境においてすべての住人に発症することはまれであり,化学物質に対する感受性の遺伝的個人差が指摘されている.

微量化学物質曝露によって誘発する自覚症状の発症機構については,神経原性炎症説が現在有力であり,症状を訴える集団では,微量の揮発性有機化合物の曝露であっても,血中サブスタンス-P,神経成長因子(NGF)活性が上昇,さらにヒスタミンによる血管拡張が増強される.

さらに本症の発症・経過・転帰には,心理社会的ストレスによる心身相関が強く影響している可能性が示唆されており,心身医学の見地から,本症の病態には,身体面と心理面の間に密接な関連が認められると結論づけられている.

本症の診断は,自覚症状と生活環境調査に関する詳細な問診が主として行なわれ,種々の神経学的検査が有用である.

治療に関しては,自覚症状改善に向けた対症療法が中心となっているが,化学物質濃度をコントロールした居住空間の改善,生活環境での有害化学物質の排除は,90%以上の患者に有効である.
第55回日本アレルギー学会秋季学術大会 2005年10月開催