2017 年 2 月 14 日
名鉄バス株式会社
小池潤 社長
藤井淑枝
薬剤師・シックハウス診断士
化学物質過敏症あいち Re の会代表
シックハウスと香料を考える会代表 )
名古屋市北区大曽根 2-10-2
シンフォニースクエア大曽根 604
cs.aichi.renokai@gmail.com
夜間高速バスでのアロマ香料使用についての公開質問書
愛知県内においては日頃から名鉄バスを利用しているものは多く、中部圏になくてはな
らぬ交通網として御社の存在は大きいものと認識しております。
さて私たちは、日常生活における香料被害を憂慮する者と、香料被害に苦しむ者です。
中日新聞 11 月 18 日朝刊「夜間高速バス アロマで快適 名鉄バス試験導入へ」、名鉄バスホームページ 「新型夜行車両導入について」http://www.meitetsu-bus.co.jp/info/detail/437
を拝見し、本文書をお送りしています。
資料 A にありますように、シンポジウムが開催されるほど香料被害は現在、深刻な社会
問題となっており、同資料中には「アロマ」香料による健康被害も報告されています。
そんな中、2016 年2月に東急電鉄株式会社が「天然アロマによる香りの空間演出」と称して東急線の改札口等でアロマの香りの噴霧をはじめましたが、日本消費者連盟も機関誌『消
費者リポート』で批判する記事を掲載しています。
資料 B をご覧ください。
以下、高速バスでのアロマサービスについて様々な角度からの問題点を述べます。
健康被害
(ⅰ)香料の有害性
EUのアレルゲン性香料の規制では、天然香料も感作性があるため規制対象となってい
ます。資料Cにはアロマの事故情報が141件とあります。
資料Dでは、アロマディフューザーとエッセンシャルオイルによる、深刻な健康被害の実態が報告されています。
資料Eでは「温泉施設で働く健康な労働者100人を対象に行ったアロマ暴露実験では、暴露開始から15〜60分でVOC濃度が上昇し、研究チームは1時間以上の暴露は温泉施設労働者の心臓血管系に有害かもしれないと述べています。
俗に「天然アロマ」とされる香料でも、香り
を補強・安定させるための人工化学物質や抽出溶剤が使用されていることもあり、その成分が必ずしも表示されているとは限りません。
安定化のための成分の一つに陽イオン界面活性剤(四級アンモニウム塩など)がありま
す。
これは消臭剤・柔軟剤・芳香剤などにもふくまれていて、シックハウス症候群の原因
物質の一つでもあります。
中学の家庭科の教科書にも記載されている当たり前の事実です。
(資料 F 参照)
(ⅱ)アレルギー
香料に対してアレルギーを持つ人もいます。
また、香料は喘息発作の誘発因子でもあり、
香りによって鼻粘膜の痛みやくしゃみ・咳を起こすばかりではなく、最悪の場合アナフィ
ラキシー状態に陥ります。
天然だから誰にでも無害・有益とは決して言えません。(資料G、資料H参照)
アナフィラキシーとは極めて短い時間のうちに全身性にアレルギー症状が出る反応です。
全身性に複数の臓器(皮膚、粘膜、呼吸器、消化器、循環器など)にあらわれ、場合によ
っては血圧の低下や意識障害などを引き起こし、生命を脅かす危険な状態になることもあ
ります。
(ⅲ)シックハウス症候群や化学物質過敏症の患者
香りによってくしゃみや咳を誘発するばかりではなく頭痛やめまい、悪心・嘔吐、集中
力・思考力の低下などの体調悪化を引き起こします。
(ⅳ)上記以外の香料不耐
妊婦や生理中の女性、抗がん剤などを使用している患者も香りに特に敏感になり、種類
によって悪心・嘔吐・頭痛などの体調悪化を起こす場合があります。
がん患者にアロマテラピーを行う場合もありますが、あくまで患者が香りを好み、嫌悪や不耐を起こさない場合です(がんの補完代替医療ガイドブック第 3 版 36頁参照)。