https://www.jstage.jst.go.jp/article/toxpt/43.1/0/43.1_P-207/_article/-char/ja/
香料アレルゲンによるヒト侵害受容器TRPA1の活性化
*香川(田中) 聡子1), 大河原 晋2), 埴岡 伸光1), 神野 透人3)
1) 横浜薬科大学薬学部 2) 九州保健福祉大学薬学部 3) 名城大学薬学部
化学物質による胎盤毒性に関連するエピジェネティクス
*瀧 憲二1)
1) ファイザー株式会社 非臨床開発研究部
公開日 20140826
本文PDF [844K]
抄録
化学物質の生殖・発生毒性試験における評価の主体は次世代の胎児に対する催奇形性などの影響であって,母体側の胎盤毒性についてはあまり評価されていない。
近年の技術革新により分子生物学的領域での網羅的解析が可能になり,生命現象の理解が急速に進んでいる。
これらオミックス情報は医薬品毒性のバイオマーカーになるだけでなく,毒性発現の機序を解明する上でも有用と考えられるが,生殖・発生毒性,特に胎盤毒性におけるトキシコゲノミクス的アプローチについてはほとんど報告がない。
近年,胎盤で特異的に発現するmiRNAがあることが見出されたが,胎盤毒性との関連性については徐々に理解されてきている。
演者らは抗がん剤である6-MPを胎盤毒性のモデル薬物として選択し,妊娠ラットに投与することで惹起される胎盤毒性とmiRNA・遺伝子発現との関連性について網羅的解析により検討し,miRNAの胎盤毒性における役割についての解明を試みた。
また,DNAのメチル化が胎盤に与える影響として5-アザシチジン(5azaC)投与により胎盤重量が減少し,迷路層の欠失など胎盤組織に影響がみられ,胎盤におけるメチル化の程度が胎盤発生に大きな影響を及ぼすことが報告されている。
さらに,ヒト栄養膜細胞では外部低酸素状態によって高メチル化が観測されている。
子癇前症は,胎盤における血中酸素濃度が減少することが分かっていることから,低酸素刺激で胎盤におけるエピジェネティックな変化が生じ,疾患と結びついているものと推定される。
miRNAの発現制御およびDNAメチル化の異常パターンは,最終的に薬物曝露,疾患の重症度,あるいは将来の疾患または障害を発症するリスクの“初期指標”として,診断バイオマーカーの役割を果たす可能性が示唆されている。
これらの報告とともに化学物質による胎盤毒性に対するエピジェネティクス関連の現象と今後の展開も含めて言及する。
runより:メチル化とは凄く簡単に言うとDNAに影響したり毒物だけど分解されにくかったり免疫にも関与するという物です。
これも生まれつき化学物質過敏症という人が居る原因の1つと考えられます。