・その他の鑑別すべき疾病
SLE、RA、UCTD、ベーチェット病、その他膠原病
膠原病と呼ぶのは、慢性関節リウマチ、悪性関節リウマチ、フェルティ症候群、カブラン症候群、若年性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE )、強皮症(全身性硬化症)、多発性筋炎・皮膚筋炎、シェーグレン症候群、MCTD(混合性結合組織病)、結節性多発動脈炎(ウェゲナー肉芽腫症、アレルギー性肉芽腫性血管炎、過敏性血管炎、高安動脈炎(大動脈炎症候群)、側頭動脈炎)、リウマチ熱、リウマチ性多発筋痛症などです。
膠原病はまだ原因が解明されおらず、症状は多彩で、原因不明の熱、皮膚の異常(発疹、結節など)、関節痛が共通して起こるようです。
また、いずれかの疾患に明確に診断できない場合や、重複例、移行型もみられます。病気の進行に伴い、内臓の障害がみられる病気です。
治療としては副腎皮質ステロイドを中心とする治療法等で病気の進行を抑えているのが現状です。
この病気の多くは女性患者であり、20代から40代に好発します。
医療の進歩にともない死亡率は減少しつつありますが、反面、長期療養を必要としている患者が増加しております。
1904 年 William R.Gomers 医師がはじめて線維筋痛症を発表した時には結合組織炎(Firositis)と呼ばれ、未分化型結合組織病(UCTD)と混同しやすかった過去もありまし た。
線維筋痛症は、SLE、リウマチなどに合併して発症する事が多く、SLEやベーチェット病の初期には区別が難しい場合もあり、また線維筋痛症患者が後にSLEやベーチェット病を併発する事もあります。
このように、これらの疾患は非常に近い位置にあり、関節痛、筋肉痛、微熱、疲労感はどれにでも見られるので、専門医の精査が必要となります。
ドライアイ、口腔、粘膜の乾き、虫歯の多発、口内炎などは線維筋痛症でも見られますが、シェーグレン症候群の主症状でもあります。
この病気の副症状は関節痛です。また関節痛と言うとリウマチが一番心配になるものです。SLEでも全身の関節痛が見られます。
レイノー現象と言う、冷水に手指を入れると白くなり、 続いて紫、赤紫に色相が変わる現象は、SLE、強皮症にも見られます。
手足の筋力が落ちるので、多発性筋炎に見えることもあります。
手指の腫れ方、こわばり感はリウマチに似ています。食欲がなくなり落ち込む気分は鬱病みたいです。
不眠、疲労感、下痢、月経困難は更年期障害、自律神経失調症と言われるかもしれません。
挙げていくときりが無いほど疑問は広がります。
しかし全てが膠原病ではないかと心配する必要は無いと思います。
膠原病は発病率も低く、最近では専門医でなくても理解が行き届いているので、かかりつけ医が疑問を感じたら専門医を紹介してくれます。
膠原病は複数の症状、微熱、簡単な血液検査で白血球の増加、CRPと言う炎症反応、赤沈などを参考にして、精密検査の必要性を決めます。
抗核抗体、補体に異常値がでたら疑いが生じてきます。
自己診断は危険ですが、更年期障害、自律神経失調、鬱、気のせい、怠け病、などといわれて納得がいかない場合は線維筋痛症の可能性も考えて見る必要はあります。
ただ、線維筋痛症だと分かっても特別の治療法があるわけではなく、用いる薬は大体同じですが、納得がいく事は精神的には必要ですし、周囲の理解を得ることも症状を軽くするには大切です。
問題は線維筋痛症が周囲に理解されるかと言う事です。
現状ではこの病名を知る医師は少数です。
医学書にも殆ど記載されていません。
むやみに「自分は線維筋痛症ではないでしょうか?」というとかえって医師とのコミュニケーションを悪化させてしまう場合があります。
周囲の人にも 「どこも悪くないのに些細な事で痛い、痛いと言っている」と思われがちです。
医師とのコミュニケーション、周囲との信頼関係など、精神面でのケアをどう確立していくか、最も重要であるのに個々人で環境が違うために一般論として論じる事ができません。