EPA はモンサントの研究を使った結果ラウンドアップを大目に見た | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典;化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html

・The Intercept 2015年11月4日
EPA はモンサントの研究を使った結果ラウンドアップを大目に見た
シャロン・ラーナー

情報源:The Intercept, Nov. 4 2015
 EPA Used Monsanto's Research to Give Roundup a Pass
 By Sharon Lerner
https://theintercept.com/2015/11/03/epa-used-monsanto-funded-research/

訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2015年11月18日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/edc/USA/151104_EPA_used_Monsanto_Research_for_Roundup.html  
 

Roundup.jpg(9992 byte) 
 米環境保護庁は本年6月(訳注1)に、アメリカ及び世界で最も広く使用されている除草剤、グリホサートは内分泌かく乱物質であるとする”説得力のある証拠はない”と、結論付けた (訳注2)。

  最も近年の測定によれば、約3億ポンド(約135,000トン)のこの化学物質が2012年にアメリカの作物に使用されており、内分泌かく乱は、がん、不妊、肥満を含む広範な重大健康影響に関連しているのだから、これは一見したところ素晴らしいニュースのように見える。ラウンドアップという名前の下にグリホサートを売っているモンサントは、間違いなくそれはよいことであると感じている。

”私は、我々の製品のひとつの安全性が独立した規制当局により確認されたことを見て幸せである”と、同社の上席科学者スティーブ・レビンはモンサントのブログに書いた。

  しかし、EPA はこの化学物質のホルモン系への影響の追加テストを求めないことを意味する EPA によるこの免罪は、その決定はほとんど完全に農薬産業側の研究に基づいていたという事実により価値が低められる。

グリホサートが内分泌系を妨げるかどうかのレビューにおいて、企業から独立した資金による研究はわずか5つしか検討されなかった。

グリホサートのホルモンへの影響を調べたもので6月のレビューで引用された32の研究のうち27の研究-そのほとんどは公的に入手することはできず、インターセプト(The Intercept)が情報公開法に基き要求して入手した-は産業側により実施されたか、産業側から資金を得ていたかのどちらかであった。研究のほとんどはモンサント社か又は共同グリホサートタスクフォース(Joint Glyphosate Task Force)と呼ばれる産業グループにより後援されていた。

有害性の発見は退けられた

 EPAの決定に用いられた証拠についてのインターセプトのレビューによれば、研究に誰が金を払っているかが問題である。

EPA がこの化学物質が内分泌系に害を及ぼすかどうかを決定するにあたり検討した少数派の独立資金研究 5つのうち 3つがこの化学物質は害を及ぼすことを発見した。

例えば、ひとつの研究は、グリホサートを有効成分とするラウンドアップへの暴露は、”性成熟期及び成獣期のオスのウイスターラットの生殖系に有意な有害影響を及ぼすかもしれない”ことを見つけていた。

もうひとつの研究は、”低用量で環境的に妥当な濃度のグリホサートはエストロゲン様作用を引き起こす”と結論付けた。

そして文献レビューではもっと多くのピアレビュー研究が、人の肝臓細胞のホルモン作用、ラットの精液機能、そしておたまじゃくしの性比率のようなことに影響を及ぼすなど、グリホサートはホルモンを阻害することができることを発見していることを明らかにした。

  それなのに、27の産業側研究の中でグリホサートが害を及ぼすと結論付けたものはひとつもなかった。

わずかひとつの研究だけがグリホサートに暴露した実験動物に観察された健康問題を引き起こす役割がこの農薬にはあるかもしれないと認めた。

グリホサートを投与されたいくつかのラットは、軟便、体重減少、及び少産であるらしかった。

しかし、その証拠は統計的有意の基準に合致しなかったのでモンサントの著者らはそれを”曖昧である”とみなした。

  実際に、産業側資金による研究の多くは、グリホサートへの暴露はラットにおける生存可能な胎仔の数及び胎仔の体重の減少;ラットの膵臓中のホルモン生成細胞の炎症;及びラットの膵臓がんの数の増加を含む、重大な影響があることを示唆するデータを含んでいた。いずれも内分泌関連の影響である。

それなのに、それぞれのケースで、時には動物が死んだ後でも、その科学者らは発見したことを過小評価するか、あるいは単純に退けるための理由を見つけた。

  グリホサートに暴露したラットの着床妊娠数が減少したときに、例えば、1980年のモンサント資金による研究は”排卵と着床は投与前に起きたので、その減少は・・・投与に関連するとは考えられない”と説明した。

彼らは、着床と生存できる胎児の減少は”統計的に有意”であったと言及したが、著者らはそれにもかかわらず着床の減少は偶発であると結論付けた。

  最近の研究 (訳注3)は、非常に低用量の内分泌かく乱物質は健康影響を起こすことができるだけでなく、より高い用量で引き起こされるものよりはるかに劇的な影響をもたらすことができることを示しているが、それらは相対的に低用量の物質を投与された動物に起きているという理由で、これらの研究のあるものはこの明確な事象を退けている。

例えば、1990年にモンサントによりなされたある研究は比較的低用量のラウンドアップに暴露したラットの中に膵臓がんの統計的に有意な増加に言及している。

ラットのがんは、コントロールグループにおける2%の可能性に比べて14%であった。

しかし、より高い化学物質に暴露したあるラットは低いがん発症率であったので、科学者らは、増加は”グリホサート投与とは無関係”であると結論付けた。


欠陥のあるシステム

 独立系科学者らは、研究がどのように設計されているか、又は実施されるかを含んで、様々な理由により産業側資金提供の科学者とは異なる結果にいたるかもしれない。

しかし、アトラジンやその他の農薬の安全性を評価したEPAの委員会で働いた生物学者マイケル・ブーンはインターセプトにこれらの結果の分析は特に偏向にうってつけの領域であると述べた。

”データの解釈及びそれがどのように書き上げられているかについて、いったん産業側と深くかかわってしまうと問題になる”。

  会社に金銭的影響を与える研究に、会社に資金提供をさせ実施させることは明らかに利益相反であるように見えるが、それがEPAの標準的なやり方である。

6月に完了したグリホサートレビューは、農薬の内分泌かく乱の可能性に関する52の報告書のひとつであったが、そのすべては産業側資金提供の研究に大きく依存し、そのほとんどは、グリホサートの場合がそうであたように、さらなるテストを行う根拠はないと結論付けた。

(除草剤として市場に出されているが、グリホサートはEPAにより殺虫剤とみなされている)。