2(男性) 香料被害の現状について―良い香りに隠されている有毒物質
ある日突然
先ほどから目がチクチクして鏡を見ると何も入っていません。
目を洗ったら楽になりましたが、しばらくすると同じ状態です。
玄関の扉を開けて外に出ると、甘酸っぱい柔軟剤のにおいが漂っています。私がこのように合成香料に過敏になったのは、2007年夏に職場を異動してからです。
秋になると、激しい咳や涙が出るようになり、産業医に相談に行くと「合成香料アレルギー」で、「ごく微量でも症状が出る」と言われました。
定年退職してしばらくは自宅で症状も出ませんでしたが、周りに家が建ってくると流行の強いにおいがする柔軟剤を使う人が増え、ほぼ毎日柔軟剤臭に悩まされるようになりました。
香りの影に隠された有毒物質
・自宅の環境測定
体調が悪くなる原因物質を分析できないか環境分析会社3社に相談したところ、2社から返事が来ましたが、物質名が判明していないと不可だったり費用が莫大だったりと個人では無理でした。
そこで、NPO 法人VOC 研究会からケムキーという米国製の有毒ガス検知器と簡易ガスクロマトグラフを借用し、指導を受けて自宅室内と外気の分析を行いました。
その結果、ケムキーで猛毒のアレルギー物質のイソシアネートを検出しました(図1の○部)。
さらにガスクロマトグラフでは、柔軟剤成分が室内に侵入していることが確認できました。
・柔軟剤・洗剤と消臭剤からイソシアネート 柔軟剤などからイソシアネートが出ていることを確かめるため、精製水で希釈・攪拌した液を有毒ガス検知器のケムキーで測定しました。
その結果、最近の香り付き柔軟剤、香り付き柔軟剤入り洗剤、消臭剤から猛毒のイソシアネートが検出され、更に確認を進めています(図2)。
イソシアネートの毒性はごく微量でも危険
国際化学物質安全性カードによると、イソシアネートの許容濃度は0.005ppm とトルエンの1万分の1。ばく露の急性症状は「吸入:腹痛、咳、吐き気、息切れ、咽頭痛、嘔吐(症状は遅れて現われることがある)」「皮膚:発赤、灼熱感、痛み」「眼:発赤、痛み、かすみ眼」とあり、私の症状とほとんど一致します。
また、注には「この物質により喘息の症状を示した者は、以後この物質に接触しないこと。許容濃度を超えても、臭気として十分に感じないので注意すること」とありました。
北里研究所病院での診察を受けたところ、脳障害や精神的なものでなく化学物質に過敏になっていると診断されました。
今まで何とも無かった妻も同じ環境で暮らしているので徐々に症状が出始めました。