日本で「鼻戦争」が勃発―香り付き柔軟剤に苦情も2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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柔軟剤市場で世界をリードする「ダウニー」が日本で発売されたのは2002年。米国での発売から実に40年後だ。

 しかも、「ウルトラダウニー」を日本に持ち込んだのはP&Gではなく、パーソナルケア製品の輸出入を手掛けるシービックだ。

P&Gジャパンの広報担当者によると、ダウニーの香りは「日本の市場には適していない」と判断し、同社の欧州向け柔軟剤「レノア」の香りを抑えた日本独自の製品を販売した。
しかし、シービックは商機を嗅ぎ取っていた。

ダウニーの売り上げは急増し、10年以上にわたって毎年2桁から3桁の伸びを見せている。

女性誌でも人気の男性タレントがダウニーを使用しているという記事が取り上げられた。

 花王やライオンなど日本の柔軟剤メーカーも、「フレア フレグランス フローラル&スウィート」や「ソフラン アロマリッチ」といった名称の従来より香りの強い柔軟剤を販売し始めた。

また、ネイチャーラボは「香りのセレブ」とうたった柔軟剤「ランドリン」を販売している。
日本香料工業会(JFFMA)によると、柔軟剤や石けんなどの商品に使用されている香料の年間生産量と輸入量は08年から12年の間に合わせて22%増加し1万2502トンに達している。

ある業界団体によると、今年9月30日までの半年間で、香り付き柔軟剤市場は前年の2倍を超える規模にまで成長している。

 また、柔軟剤の香りが最大限に出るようにするためのコツ(洗濯物を屋外ではなく室内に干す)から、衣類のかびの臭いを取り除くための方法(それら衣類を柔軟剤に浸したタオルで拭く)まで、柔軟剤のあらゆる活用方法を紹介したブログムもあふれている。

 しかし、臭いに関して従来的な考えを持つ人たちは、もうたくさんだと述べ、アロマ拡大競争の終息を訴えている。

 東京近郊在住の木村優子さんは、「この1年で香りは本当に強くなった」
と話す。

木村さんは、電車で男子高校生の一団を見かけると慌てて降りている。柔軟剤の香りを最も強く漂わせているのが男子高校生だという。

「普通の空気が恋しい」と木村さん。

 過去1年で、国民生活センターのホットラインに寄せられる、香り付き柔軟剤をはじめとする香料で頭痛や吐き気をもよおしたとする苦情の電話は急増している。

 同センターでは、さまざまな柔軟剤をテストし、健康被害の有無を確認したが、その結果は何とも言えないという。

しかし、同センターは9月、柔軟剤使用者に注意を促した。

時間の経過と共に嗅覚が鈍り、柔軟剤を多く入れすぎている可能性があるとし、「他人は不快に感じることもあるということを認識」するよう促した。
日本石鹸洗剤工業会の広報担当者は、メーカーに柔軟剤の1度の使用量の目安を少なくするよう要請することも検討していると述べた。

シービックは年内に、同社で扱う柔軟剤に「香りの感じ方や好みが個人により異なるので、適正な使用量を守って、香りを楽しんでください。誰かに迷惑をかけるのはやめて、楽しんでください」といった内容の文書を添付する予定だという。

 岐阜県在住の元教師で、現在「香料自粛を求める会」の代表を務める小沢祐子氏は「現代社会の公害にも値する」と話す。

「香料自粛を求める会」は香料アレルギーや嗅覚過敏に対する意識向上を目的に3年前に創設された。

小沢氏は、鋭い鼻を突く香りを漂わせたファッショナブルな女性の横を通り過ぎた後に気を失ったことが2度あると話し、そんなことは2度と起こらせないと意気込む。
小沢氏は岐阜市に対し、ガスマスクを付け、自らの症状を説明しながら、人々に芳香剤の使用抑制を呼びかけるサインを市役所の各所に掲示するよう訴えた。

 岐阜市当局者は現在、自分たちは香水や整髪剤の使用は避けていると話す。

しかし、ある職員は「柔軟剤は難しい。他の人が買うケースが多いので。うちはかみさんが決めている」と話す。


runより:米紙ウォールストリートジャーナルで書かれた記事です。