ホルモンを知る−「コルチゾール」の誤解【2】 | 化学物質過敏症 runのブログ

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ホルモンを知る−「コルチゾール」の誤解【2】

 前回は、一般に“ストレスホルモン”と呼ばれる「コルチゾール」が果たしている、私たちの体を守る働きについて、福岡大学の柳瀬敏彦教授(内分泌糖尿病内科)に聞きました。

今回は、コルチゾール分泌が慢性的に減少する状態として、近年の話題になることが多い「副腎疲労」について、そしてコルチゾールと関わりが深く長寿にかかわると言われるホルモン「DHEA」について、引き続き柳瀬教授に解説してもらいます。

慢性ストレスで副腎は疲労する?

 副腎皮質からのコルチゾール分泌量が減少して発症するのが、全身の疲労感、胃部不快感や食欲不振といった消化器症状などを伴う「副腎不全症」です。

一方、最近よく言われる説として、私たちの体が長期間ストレスにさらされた結果、「副腎疲労」が起き、ストレスに反応するコルチゾールの分泌能力が低くなって副腎不全症のような症状が出る、というものがあります。

強いストレス環境で、休む間もなくコルチゾールを分泌し続けた副腎が疲労してしまう……という考え方ですが、現時点においては、明確な根拠はありません。

慢性的なストレス環境では、視床下部、下垂体、副腎系のホルモン調節に一時的な障害が起きることは分かっているので、副腎やコルチゾールに限定せず、自律神経機能やホルモン調節系全体が一時的な機能不全に陥ることはあるかもしれません。

 ストレス社会に生きる私たちの種々の体調不良を説明する上で、「副腎疲労」は魅力的な仮説だとは思います。

しかし、私自身は長期間ストレスにさらされた結果、コルチゾールの分泌が少なくなる、ということはないと考えています。

コルチゾールがストレス指標として用いられるので、コルチゾールをストレスそのものや副腎疲労を引き起こす“悪玉ホルモン”と勘違いしている人がいますが、そうではありません。コルチゾールは皆さんのストレスに対処すべく、戦ってくれているけなげなホルモンなのです。

コルチゾールとシーソーの関係で動くDHEA

 コルチゾールの分泌が増えると減り、コルチゾールの分泌が減ると増える……いわばシーソーの関係にあるのが、副腎や性腺(精巣や卵巣)で産生される弱い男性ホルモンの一種「DHEA」(デヒドロエピアンドロステロン)です。

女性がDHEAを服用すると、骨密度が上がる、シミが減る、肌が潤う、性欲が上がる、などの効果があることが分かっており、近年「若返りホルモン」として注目されています。

 久留米大学のグループは、DHEAに関する27年もの追跡調査の結果を報告しています。

それは、DHEAの血中濃度が高い男性ほど死亡率が低いというものです。

福岡県・旧田主丸町(現久留米市)で1978〜79年にかけて行われた住民検診において、男性396人、女性544人のDHEA血中濃度を測定しました。

この時の結果を高(200μg/mL)、中(120〜200μg/mL)、低(120μg/mL未満)の3グループに分けて追跡調査した結果、高グループの男性は、低グループに比べ、死亡率が約8割低かったのです。

女性は女性ホルモンの影響のせいか、DHEA血中濃度と寿命との関連は認められませんでした。

これはあくまでも想像ですが、DHEAの分泌はストレスで低下することが知られていますので、当時検診を受けた男性でDHEA濃度が低かった方は、ストレスフルな状況が続く生活によって、寿命が短くなったのかもしれません。

 このように、DHEAと長寿は関係があると言われてはいますが、明確に証明されているわけではなく、今後の検証が必要です。

DHEAをサプリメントとして服用した場合、特に女性にはニキビができやすい、乳房痛が起きるなどの副作用もあります。

また、体内で男性ホルモンのテストステロンや女性ホルモンのエストロゲンに転換するので、これらのホルモンで悪影響を受ける前立腺がんや乳がんなどのがんに罹患(りかん)している方は、服用を避けてください。

 心身への適度なストレスは長生きにつながりますが、長期間にわたるストレスが健康を害するのも確かです。

一時的なストレスによるコルチゾールの分泌が体に悪影響を及ぼすとは言えませんが、慢性的に過剰分泌されている状態は決して好ましくはありません。完璧主義ではなく、鈍感力も必要です。

私は最近、「物事の準備や達成は50%で可」と考えるようにしています。

自分なりの日々のストレス適応能力を身につけることが大切です。


runより:う~ん・・・味方のはずでも化学物質過敏症では敵になる事も少なくないからどうとも言い難いですが症状によっては使うべき時があるかもしれないですね。