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「デジタル」も「ケミカル」も「人間関係」もフリー! 文明に敏感過ぎる人たちが住む街「スノーフレーク」を訪ねて

From The Guardian(UK) ガーディアン(英国)より
Text by Kathleen Hale

2016.9.10

スージーとデブの近所に住むスティーンは、PC、Wi-Fi、電気そして印刷用のインクに接触するとアレルギー反応が出てしまう。

そのため届いたメールは全部印刷し、インクの匂いが消えるまで24時間乾かしてから読む。返信はすべて手紙だ


「電磁波」「洗剤」「合成繊維」「添加物」「農薬」「タバコ」などと接触すると、耐えられないほどの激痛を感じる──この「環境病」と呼ばれる病に苦しむ人々が、平穏を求めて集まる小さな街がある。

米国アリゾナ州東部に位置する「スノーフレーク」だ。
 英紙の記者が彼らのコミュニティに潜入取材。待っていたのは奇妙だがユーモア溢れる住民との、なぜか心癒される交流だった。

「招かれざる客、来るべからず!」

 世界中のありとあらゆるものが、スージーに痛みをもたらした。

 香料の入った化粧品や洗剤、プラスチック、合成繊維、煙、電波、農薬……彼女の痛みを誘発するものは、枚挙にいとまがない。
 「通常の世界」に出ると、車の排気ガスや香水の匂いのせいで発作が起こり、何日も体調を崩した。

この世界で生きていくのは、あまりにも辛すぎる──スージーはそれまでの生活を捨て、アリゾナ州にある「スノーフレーク」に移り住む決意をした。

 「ここで暮らすようになってから、外出するときに酸素ボンベを携帯しなくてもすむようになったのよ」
バックミラーに写る私に、にっこりと微笑みながら彼女は言った。

スノーフレークには現在、彼女を含めて約20世帯が暮らしている。
この街の住人のほとんどは、彼らのいうところの「環境病」を患っている。
 電磁波や化学物質など、近代文明が生み出した環境的な要因によって、体調不良に陥る病気だ。
一緒に車に乗っている英紙「ガーディアン」の映像制作者であるマエは、フロント席から風景を撮影するのに忙しそうだった。

なぜ、多くの環境病患者がスノーフレークで生活することを選択したのかを探ろうと、私達は4日間この街に滞在する予定だった。
 取材後、精神科医に彼女たちの病状について意見を求めないことを条件に、スージーは私達のホストになることを承諾してくれたのだ。

スージーの家に到着すると、彼女は隣人の家を指さした。
そこは有刺鉄線で周囲を囲まれていて、「招かれざる客、来るべからず!」と書かれた看板が立てられていた。
 「彼の症状は特にひどいのよ」と、スージーは言う。

そして、彼女は黄色いクリスマスのオーナメントが飾られた門のほうに、私たちを案内してくれた。
「私の下着を着なさい」

 「環境病」の概念は19世紀からすでに存在した。
1869年、ジョージ・ビアード博士は、「気だるさ、脳への刺激、痛み、頭部の圧迫感や重圧感などといった病気の原因は、近代文明と蒸気動力が原因だ」とする論文を発表。

 彼によれば、こうした化学物質過敏症の人々は「社会への恐怖、孤独に対する恐怖、病気への恐怖、恐怖を感じることへの恐怖」──つまりすべてのものに対して恐怖を抱くのだという。

ビアード博士はこの病気を「神経衰弱」と名付けたが、スージーは「対全世界過敏症」と呼んでいた。