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自己免疫疾患ってどんな病気? 敵は自分の分身、多臓器に症状
山陽新聞デジタル 9月5日(月)11時52分配信

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図1




 自己免疫疾患について、岡山赤十字病院(岡山市)の小山芳伸自己免疫疾患センター長・膠原病リウマチ内科部長に寄稿してもらった。

 2014年、岡山赤十字病院に自己免疫疾患センターが開設されました。

「自己免疫疾患?」。

どんな病気なのか、ピンと来ない方も多いかもしれません。

しかし「膠原(こうげん)病」も「関節リウマチ」も自己免疫疾患に含まれると言えば、何となくイメージしていただけるでしょうか?

 膠原病やリウマチセンターは全国に多くありますが、「自己免疫疾患センター」は、当院だけのとてもユニークな組織です。

ここには院内の多くの専門診療科が参加しています。

膠原病リウマチ内科、腎臓内科、呼吸器内科、循環器内科、血液内科、消化器内科、総合内科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、精神神経科…。

どうしてこんなに集まっているのでしょうか?

 今回から8回にわたり、自己免疫や免疫にまつわる話題を、各診療科のリレー形式で提供したいと思います。

 第1回は自己免疫疾患がどのような病気なのか、膠原病は? 関節リウマチは?…。

このようなところを紹介させていただきます。

 ご存じの方もいらっしゃると思いますが、「関節リウマチ」は関節が腫れ、痛み、壊されていく病気です。

実は、この病気は「膠原病」の一つなのです。

 かつて病気は心臓病や腎臓病などのように、臓器単位で分類されていました。

しかし、このような枠に入らない病気、つまり、一度に多くの臓器に病変がある疾患が明らかになってきました。

1942年、病理学者のクレンペラーがこれらの病気を研究し、膠原線維(結合組織)に共通して病変があることを発見、「膠原病」と名付けたのです。

「関節リウマチ」はその中の一つでした。

 その後、膠原病患者の血液中に、自分の体の構成成分を攻撃してしまう抗体や、リンパ球が発見されました。

「自己免疫疾患」の中に含まれる病気であることがはっきりしたのです=図1。

当院の自己免疫疾患センターに、非常に多くの専門診療科が参加する理由はここにあります。

症状が一つの臓器に止まらず、多臓器にわたるからです。

 免疫は、私たちひとりひとりが持っている自衛隊です。

普段、さまざまな敵から、私たちの体を守ってくれています。

一方、自己免疫疾患は、自分の自衛隊が自身の一部を敵と間違えて攻撃する病気です。

従ってこの場合、病気を起こしている悪者は自分自身の一部なのです=図2。



自己免疫疾患ってどんな病気? 敵は自分の分身、多臓器に症状
小山芳伸自己免疫疾患センター長膠原病リウマチ内科部長
 では、治療はどうすれば良いのでしょうか?

 簡単です。

体の自衛隊を解散させ、免疫系を黙らせてしまえば病気は治ってしまいます。

しかし問題はそう単純ではありません。

なぜなら私たちは、細菌やウイルスなど、さまざまな敵の中で生き抜いていかなければならないからです。

もしも免疫系がなかったら…。誰が敵から私たちを守ってくれるのでしょうか?

 同じように自分自身の一部が、自分を攻撃する病気の一つに癌(がん)があります。

「癌細胞」は体を維持するためのルールに従わず、勝手にどんどん増殖し、いろんな所に散らばっていきます。自己免疫疾患で自分を攻撃している「悪い免疫」も、最終的に命を奪ってしまう「癌細胞」も、いずれも自分の体から出た、いわば自分の分身です。

よほど良く見分けなければ、誰が敵で、誰が味方なのか区別がつきません。

 つまり、敵は自分の分身ですので、敵を弱らせるための治療は、自分自身の正常な部分にもダメージを与えてしまいます。

最新の医学でも、これらの病気が、いまだ克服困難である理由はここにあるのです。

 ただ、この「悪い免疫」と「癌細胞」の間には決定的な違いがあります。

「癌細胞」は完全な悪者である点です。

従って、癌は可能であれば、完全に取り除いてしまえば病気は治ってしまいます。

一方、「悪い免疫」は悪いこともしますが、時には「良い免疫」にもなり、私たちの体も守ってくれています。

だから体から取り除くわけにはいかないのです。

自己免疫疾患で命を奪われるケースは多くありませんが、癌よりも克服が難しいとされるのは、これが理由です。

 しかし、医学の進歩は日進月歩です。

最新の免疫学は、病気のメカニズムを明らかにしつつあります。

そのおかげで、症状を起こす免疫の重要な部分がいくつか分かってきました。

これにより、治療は免疫全体を抑える方法から、重要な部分に絞って抑制できるようになり、副作用を抑えつつ効果を高める事が可能になってきました。

 このような新しい治療には、リウマチや膠原病の枠を超え、広く自己免疫疾患で使われるものもあります。

そのような流れの中で、当院の自己免疫疾患センターが誕生しました。

ここでは、各専門診療科の垣根を越え、最新の治療情報を共有し、良質な医療を地域の方々に提供できるよう努めています。

 次回は皮膚科にバトンタッチです。

 岡山赤十字病院(086―222―8811)

 こやま・よしのぶ 岡山芳泉高校、産業医科大学・大学院卒。1995年~99年米国ハーバード大学留学。帰国後、産業医科大学病院/京セラ産業医、横浜労災病院、松原メイフラワー病院、麻生飯塚病院勤務を経て、2011年8月から現職。日本リウマチ学会評議員・指導医・専門医、日本内科学会指導医。医学博士。54歳。