・羊水からダウニーの匂い?
「羊水にダウニーの匂いがした」という助産婦さんや産婦人科のお医者さん
の話をチラホラと聞くようになりました。
化学物質が胎盤を通過する可能性は指摘されていますので、皮膚から体内に入った合成洗剤や柔軟剤の匂いの成分(化学物質)が羊水に届くことも考えられます。
過熱する匂いブームの影響は、とうとう生まれる前の赤ちゃんにまで届きはじめたのです。
そもそも匂いの成分は、様々な低濃度の化学物質を複合して作られていま
す。
その中には石油化学製品の原料となる化学物質もたくさん含まれているにもかかわらず、安全な物質だけではないことがすっかり忘れられています。
10年ほど前にP&G の衣類用柔軟仕上げ剤「ダウニー」が輸入され始めて
から、2008年には花王、P&G、ライオンの大手3社が香り付き柔軟剤を次々
と発売しており、この市場は大きく成長しています。
それが追い風となって匂いブームは熱を増し、驚くような製品も出てきました。
体臭除去デバイスの特許を取得した会社すらあります。
体臭がキツイと判断すると自動的に良い香りを放つ仕組みや、香りをアロマカプセルに閉じ込め、汗をかくなど水分と接触したときにカプセルが少しずつはじけて香りを出す仕組みがその一つです。
その他にも、自動車の中で匂いを放ち続ける車アロマディフューザーなど、香りビジネスの拡大は勢いを増しています。
一方で、匂いブームと同時にそれらの匂いに耐えられないという「香害」被害者が続出しています。
過ぎたるは及ばざるがごとし。
何事も度が過ぎてエスカレートすると想定外の問題が生じるのです。
匂いブームに便乗しようと躍起になっている企業が勢いを増すなか、行政、学会を含めて社会全体がこの動きにブレーキをかける必要が出てきました。3月12日予定のシンポジウム「においブームの落とし穴 香料や柔軟剤、広がる香害の原因はどこに?」が、そのきっかけとなれば幸いです。
(理事 水野玲子)