講習会「においブームの落とし穴 香料や柔軟剤、広がる香害の原因はどこに?」についてのご報告】 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・FBでユリイカさんが投稿したものです。
【3月12日(昨日)講習会「においブームの落とし穴 香料や柔軟剤、広がる香害の原因はどこに?」についてのご報告】(ごめんなさい。長文です。)

スケジュールは主に(挨拶などを除き)
1★安原昭夫先生(東京理科大)「においと化学物質」
2★神野(じんの)透人先生(名城大)「柔軟剤から揮発する化学物質」
3★休憩
4★柔軟剤・香料被害者女性(3人のお子さんのうち2人がCSのお母さま)と
5★柔軟剤・香料被害者男性(ご本人がCS)のレポート
6★質疑応答

「1★」では、においの原因や特性を、「質」「仕組み」として科学的かつ客観的にお示しいただき、ヒト嗅覚のセンサーの性質や、においに関係する様々なセンサー(機械)」などについてのご説明がありました。

お話の中に「ニオイの容認性」について、数値でご説明頂きました。
0:無臭
1:やっと感知できるにおい(検知閾値濃度)
2:何のにおいであるかわかる弱いにおい(認知閾値濃度)
3:楽に感知できるにおい
4:強いにおい
5:強烈なにおい
と6段階あり、悪臭防止法が定める規制基準値は「2.5~3.5の間」だそうです。

2.5は住宅地域で容認、3.5は工業地帯で容認され、それを超えると、取り締まりに繋がるようでしたが、罰則はないようでした。

また印象深かったのは、嗅覚確認試験において、「パネル(=被験者)になれる人」についての説明でした。

「嗅覚の種類判定が正しくできること」や「嗅覚が鈍感な人はなれない」ことのほかに、「鋭敏過ぎてもパネルにはなれない」ということでした。

それは、「5本のスティックにしみ込ませたにおいを判定する時にも、鋭敏な人は隣のスティックのにおい移りまで検知してしまうから」とのことで、その理由に大いに納得させられました。

「2★」では、神野先生が、「ベンゼン(国際がん研究機関:IARCが発がん性について十分な証拠があるとランク付け)の濃度」について、屋外より屋内のほうが2~4倍高いこと、「ナフタレン、蚊取り線香、煙草にも多く含まれ、使用の度に拡散し、室内濃度に関与すること」をお示しの後に、以下の、非常に新しく意義のある研究成果について教えてくださいました。

まず、覚えたい名前は「TRPイオンチャネル」です。

この発表の結論は、私達が体調を悪化させる「ケミカル臭によって、TRPイオンチャネルが活性化されていることが明らかとなった。」というものです。

これは「ケミカルで神経刺激が過度になったり、気道(咽喉)や鼻腔(鼻)や角膜(目)に異常な刺激を感じたりしているということが、ちゃんとミクロのレベルで表現されていた、という内容です。

「TRP」は、Transient Receptor Potentialトランジェント レセプター ポテンシャルの略で、グーグル翻訳では「一過性電位受容器」と訳されました。

「イオンチャネル」は、生体(細胞)膜にハメコミコンセントのように予めセットされているアミノ酸の塊のことで、今の高校生物では「膜貫通タンパク質」という名前を習います。

TRPイオンチャネルは、細胞における情報窓口の役割があり、温度や機械的な刺激などを感知する「センサータンパク質」のことで、ヒトで27種類みつかっています。

「侵害受容器」の働きもあり、感覚神経、気道、鼻腔、皮膚上皮の細胞に多くセットされているそうです。

刺激を受け取った後は、それをきっかけに細胞同士や細胞内外の情報伝達が迅速に行われ、特定の生理現象を発生させたりして、生命活動や生命維持に、とても重要な役割を持つものです。

ただ、「これがケミカルによって活性化された」ということは、「侵害サインが発現されていた」「ケミカルアタックを、体は細胞レベルで感じていた」ということが、客観的に証明されたということです。

私達が一般病院に行って既存のMRIや血液の検査をしても「何も問題ない」と決めつけられてしまう「ケミカル臭による体調不良」問題は、今後、思わぬところで解決しそうです。

神野先生の発表は横浜薬科大学香川聡子教授と九州保健福祉大学薬学部の大河原晋教授の共同研究からのものだそうで、具体的には【「溶剤」「香料」「可塑剤」「柔軟剤」「アクリル樹脂の原料」「8種類中、モノテルペンを合成する一部のミント精油」「ピレスロイド系殺虫剤」「イソチアゾリン誘導体・サリチル酸エステルなどの防腐剤」「トリハロメタン」「排出ガス」「カビなどからの揮発性生物」「塗料」「化粧原料」「金属ダスト」が、TRP-A1イオンチャネルを活性化させた】という難しい「表」が盛りだくさんの内容でした。

今回、室内外(多くは室内)に存在する様々な化学物質によって、侵害受容TRPイオンチャネルが活性化されたという事実から、今後は、その標的分子を明らかにすることによって、相加相乗作用、感受性の亢進、個人差のメカニズムなどについても、謎解きが期待される内容でした。

「4★」の方は、次女以外のご家族がCSで、色々な制限のある生活を強いられるというお話。学校は相当クサイ。

ニオイ移りして帰宅する。中学生~高校生は思春期でおしゃれになり、「シャンプー、リンス、整髪料、制汗剤、歯磨き粉、化粧水、リップ、ハンドクリーム、洗剤、柔軟剤、靴の消臭剤」と数多く、体育の後は部屋が白く煙るほど制汗剤が使われ、子供はふらふらになって帰宅する。

バレンタインは手作りお菓子を子供たちが交換するが、もらったチョコやクッキーが柔軟剤臭い。それをよその子は食べていると思う。

CSを発症する子供が増えている。サッカー選手が夢で部活に入った少年もCSで家から出られず部活はおろか学校にも行けない。

色々な希望をもっていても、ニオイに壊される。子供たちは進学にも就職にも制限され、苦しんでいる。

子供たちの未来はこれで良いのか!?という熱意あるお話でした。

共感も多く得ていて、私はサッカー少年のお話以降については涙が込み上げました。

「★5」の方は、多種多様のケミカルで様々な症状に苦しみ、次の4月に初めて北里を受診されるということでしたが、お話のどこ(の切り口)を聞いても、完全に多種化学物質過敏症の方でした。

奥様もついこの間、ご近所の方が柔軟剤の赤ちゃんを連れてきてしまい預かって2時間で発症してしまったというお話、山登りでも姿のない柔軟剤の残り香で苦しむお話、「ご結婚して別居し妊娠してから柔軟剤を止めて1年も経過していたお嬢さん」の衣類と自分たちの衣類を一緒にお洗濯したら、ニオイが移って大変だったお話もしてらしゃいました。
で、アロマコーヒー(オシャレで美味しそうに機械で淹れるけど、実はフレーバーたっぷりのいんちきコーヒー)や、ジェネリック薬品でも体調を崩すそうで、アロマコーヒーは要注意だと感じました。

そして、ご自宅周辺の柔軟剤発生源を探索した地図をお示しになって、「24時間、雨の日にも柔軟剤のニオイが換気口からすさまじく出ている家」など詳細に説明されてました。

柔軟剤が外の家から自宅に侵入してくるさまや、その成分の機械分析によって、イソシアネートやシアン化水素やトルエンが検出されたこと、特許庁の香料に関する技術概要の「安全性」に関する記述はアタマから「長い使用実績から基本的にはともに安全であると考えられている」とか「添加される香料はごく微量であり、使用する素材個々の安全性が確認されている物を使用しているため、安全性は確保されていると捉えられている」「我が国では香料そのものに対する明確な規制は存在しない。」など、法的規制の無いこと、隠れた被害者が沢山居ることを問題視していらっしゃいました。
ご報告は以上です。


runより:素晴らしい講演と解説でした。

香料被害が増えていると痛感しましたね。