・出展:ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
http://kokumin-kaigi.org/
・化粧品の防腐剤パラベンの一部がEUで禁止に
事務局・ジャーナリスト 植田 武智
すべてのパラベンは環境ホルモン
EUの化粧品規制で、環境ホルモンである防腐剤「パラベン」の規制に動きが出てきています。
パラベンには9種類以上あるのですが、すべて内分泌か
く乱作用があるとして、欧州のNGO「ChemSec(ケムセック)」などは、より安全なものへ変更するよう提言してきました。(1)
作用の強い2種類をデンマークが規制
ただパラベンの中にも、内分泌かく乱作用の強さに差があり、比較的大量に使われる4種類(メチル、エチル、プロピル、ブチル)の各パラベンの内、作
用の強いプロピルパラベンとブチルパラベンについては、2011年にデンマーク政府が3歳以下の子供用の商品(赤ちゃんのお尻ふきやお手拭きなど)には禁止としました。(2)
欧州全土でも規制強化へ
デンマーク政府の動きを受けて、欧州委員会も規制への動きをはじめ、委員会の中で消費者商品の成分の安全性を評価する「消費者安全科学委員会(SCCS)」がパラベンの再評価を行いました。
その結果、評価に必要なデータを企業が提出してこなかった5種類(イソプロピル、イソブチル、フェニル、ベンジル、ペンチル)のパラベンについては、化粧品成分としては使用禁止と決定。
2014年10月30日からは店頭販売できなくなる予定です。(3)
プロピルパラベンとブチルパラベンについては、商品への含有濃度の上限値が従来の0.4%未満から0.14%未満へと約3分の1に削減。
また3歳以下の子どものおしりふきなどの商品には使用禁止となり
ました。(4)
欧州では販売できない花王の「ムーニーズおしりふき」
そこで日本の大手メーカーの赤ちゃん用おしりふき商品でのパラベン類の使用状況を調べてみたら、大きな差が出ていました。
一番対策が進んでいるのは、ユニ・チャーム(株)の「ムーニーズ」とP&G社の「パンパース」。おしりふきは全てパラベン無配合に変更していました
(ムーニーズは子ども用の「除菌ができるウェット」を除く)。
2番目は赤ちゃん本舗。新たにパラベンフリーのおしりふきも発売していますが、従来のパ
ラベン入りも販売継続中です。対応できていないのが、花王の「メリーズ」のおしりふき。
「するリンきれいおしりふき」という商品には、「メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン」の3種類が使用されています。
つまり花王の商品は今年の10月以降は欧州各国では販売禁止になるわけです。
世界中では、2002年のヨハネスブルグサミットで合意された「2020年までに化学物質による人と環境への悪影響を最少化する」という2020年目標に向け
て各国は化学物質対策を進めています。
EUで進行中の環境ホルモン規制も今回の化粧品のパラベン規制強化もそうした2020年に向けての対策の一つです。
対策が進む欧州を参考にして、日本政府の化学物質管理を監視する必要があります。
(1)http://www.chemsec.org/what-we-do/influencingpublic-policy/endocrine-disrupters/found-in-consumerproducts/parabens
(2)http://www.chemsec.org/what-we-do/influencingpublic
-
policy/endocrine-disrupters/found-in-consumerproducts/
parabens
(3)Commission Regulation (EU) No 1004/2014 of 18
September 2014 amending Annex V to Regulation (EC)
No 1223/2009 of the European Parliament and of the
Council on cosmetic products
(4)Commission Regulation (EU) No 358/2014 of 9
April 2014 amending Annexes II and V to Regulation
(EC) No 1223/2009 of the European Parliament and of
the Council on cosmetic products (1)