-2:電車は毒ガス室。蚊・ゴキブリが生息できない濃度 | 化学物質過敏症 runのブログ

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●化学物質過敏症誘う?

 回答をそのまま受け取れば、使われている現薬剤は有機燐系ではないが、すでに何かで有機燐に被曝していると、化学物質一般にも反応する化学物質過敏症を起こす可能性がある。
これも個人差はあるが、有機燐には体内に入った化学物質を壊す酵素の働きを阻害する性質もあるからだ。
化学物質によっては、有機燐中毒と同じく神経・精神障害を起こす。

 無論、だからといって、車内への薬剤散布、被曝と高見運転士の変調をそれだけで繋げることはできない。
化学物質の影響を考える場合も、勤務場所の周辺に限らず、それぞれの生活環境にも目を向ける必要があるし、化学物質とは関係のない原因があったかもしれない。頻発している他の鉄道過誤にしてもそうだ。

 しかし、鉄道などに乗っていて化学物質に反応し、車内でも苦しんでいる人
たちが少なくないことは確かだ。
この取材でも幾多の例が集まった。横浜市に住む建築家尾竹一男さん(53)の場合はこうだ。

 尾竹さんは何年か前、新大阪駅で東海道新幹線に乗り、京都駅を出た辺りから急に、席に座っていられないような状態に陥った。
床にしゃがんで、うつむきたくなった。非常な圧迫感があり、息苦しい。脂汗が出る。
早く帰りたいという気持ちとの葛藤があったが、名古屋駅で飛び降り、ホームで20~30分しゃがみ込んだ。
なんとか調子は戻った。

 尾竹さんには心臓関係の持病があって薬を常に携えているが、その時は胸の痛みはなく、心臓関係の発作ではないことは分かっていた。
その後、視覚に異常が生じていると思われる仕事関係の人を診てもらいに、この分野に通じた医師を訪ねたら、尾竹さん自身も有機燐中毒と診断された。

 化学物質過敏症、あるいはシックハウス症候群の人たちのために、尾竹さんは有機燐などの化学物質で住まいを汚染させない建築のやり方を工夫している。
白蟻、ダニ対策も含めてだ。

 ●電車内で体調に異常

 ある時、尾竹さんは化学物質に苦しむ患者の家を3日間くらいで4軒も、マ
スクをしないで無防備に回り、畳を剥がしてみたりした。
ダニ対策として有機燐剤が投入された跡が歴然としていた。
そんな家はたいてい床、天井裏の建材にまで有機燐剤が塗布されている。
こうして、尾竹さん自身が有機燐に被曝してしまったのだ。

 尾竹さんは治療を受けて回復に向かったが、東海道新幹線で往復する場合は今もなお時々、車中で異常が生じる。
たとえば右首筋から肩にかけて筋肉がかちんかちんに凝り、頭がぼうっとしてしまうのだ。
そんな中で最寄りの新横浜駅に降りる尾竹さんは、車で迎えに来た妻から、

 「鬼の顔になっている」

 と言われたりする。

 そして、今でも尾竹さんはすぐに感情が切れる。

 「何でそうなるのか分からないのだが、『どうでもいいじゃないか。うるせ
え、黙っていろ』と(妻に)言ってしまう」

 尾竹さんによると、JR東海の東海道新幹線もさることながら、JR東日本
の在来線、たとえば横須賀線あたりはそれ以上に体にこたえる、という。

 JR東日本の快速電車に乗っていて発症した40代の男性Aさん、30代の
Bさんに関する話もある。

 Aさんは、自宅の床下に撒かれていた有機燐の白蟻駆除剤で慢性中毒に罹かっており、ある時に車内でとても苦しくなった。
Aさんが後でJR東日本の担当部署に問い合わせたら、やはり有機燐剤を含む殺虫剤が散布されていた。
車内の有機燐で症状が悪化したようだ。

 Bさんの場合は職場で、有機燐などが用いられているOA機器類によって発症した。
治療によって普段は症状が消えているが、電車に乗ると、ぶり返すことがある。
めまいがし、感覚が鈍ってきて、職場に着いても倦怠感や肩凝りで仕事にならない。

 自分の新築住宅に使われたり、近所で植木などに撒かれた有機燐剤によって発病し、苦しんだ50代の女性Cさんは、薬剤散布について事前に幾つかの確認をしてからでないと、新幹線にも乗れない。
不用意に乗車したら発症する恐れがあるからだ。

 学校などで散布されたりした有機燐剤によって、慢性有機燐中毒や化学物質過敏症になった生徒らが、それから鉄道を利用しにくくなったという例もあちこちにある。