◆原因には諸説あるも決め手を欠く
慢性疲労症候群が原因が明らかになっていないだけでなく、原因が1つなのか複数なのか、身体的なものか精神的なものかなども議論が続いている状態です。
有力な説としては、ストレスをきっかけに神経系の働きに異常が生じて免疫の働きが低下する→体内に潜伏していたウイルスが活性化→ウイルスを抑え込むために体内で免疫物質が過剰に産生される→過剰に作られた免疫物質が脳の働きに影響を及ぼして強い疲労感や諸症状を引き起こす──というものがありますが、定かではありません。
また、慢性疲労症状群には、ある特定の遺伝子に関する異常があることも報告されています。
いずれにせよ、病気のメカニズムが明らかになるにはまだ時間がかかりそうです。
◆慢性疲労症候群の診断と治療
慢性疲労症候群の診断を確定できる検査はありません。
そのため、同様の症状を起こす疾患を除外するために検査をします。
結果、どの病気でもないという場合に「慢性疲労症候群」の診断が下されます。
慢性疲労症候群の症状の多くは、時間が経つと軽減します。
ただし、長期にわたる休養や安静はかえって体力が低下してしまい悪化させることがあります。
医療専門家の監督の下に、ウォーキング、水泳、サイクリング、ジョギングなどの有酸素運動を定期的に続けることにより、疲労感を改善し、身体機能を高めることができます。
また、行動療法や心理療法が用いられることもあります。
◆日頃の生活とストレス処理が大事
慢性疲労症候群の初期症状は風邪に似たものなので、内科を受診しましょう。
風邪とは違うなと感じたら心療内科でもかまいません。
この病気にかかりやすいのは、真面目で責任感が強い人、日頃から忙しく過度なストレスを抱えている人などだと言われています。
自分にあったストレス発散方法を見つけないと、慢性疲労症候群にはまり込んでしまう可能性があります。
また、睡眠不足が重なると疲労が蓄積されるため、質の良い睡眠をとれるように工夫しましょう。
食事もファストフードやコンビニ弁当などで済ませたりせず、3食きちんとバランスのよい食事をとるように心がけましょう。
執筆:南部洋子(看護師)
監修:樋口二三男(医学博士、整形外科医、とらうべ顧問産業医)