・出典;化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
・Green Lodging News 2014年7月30日
多種化学物質過敏症の人にどのようにより良く宿泊してもらうか
グレン・ハセック(Glenn Hasek)
情報源:Green Lodging News, July 30, 2014
How to Better Accommodate Travelers with Multiple Chemical Sensitivity
By Glenn Hasek
http://www.greenlodgingnews.com/how-better-accommodate-travelers-with-multiple-chemical
訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2015年1月8日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/sick_school/cs_kaigai/USA
/How_to_better_accommodate_travelers_with_MCS.html
ジュディ・スミス(仮名)は、最近のある旅行に出かける前に、泊まろうと考えていたモテルに電話をかけて、彼女が泊まる部屋では、化学物質、空気清浄装置、又は室内脱臭装置を使わないことを求めた。
しかし残念ながら客室係は、清掃用化学物質を使用しないというメッセージだけを受けており、空気清浄装置、又は室内脱臭装置を使用しないということについては受けていなかった。
彼女が110ドル(約13,000円)の彼女の部屋に入ると直ぐに、人工的に香りを付けた製品の花の香りが彼女を直撃し、彼女は喉が詰まりそうになったとジュディさんは述べた。
”私は声がかすれ、その部屋を離れ、部屋の空気清浄装置が動いている間、1時間、あるいはそれ以上、部屋の外で座っていなければならなかった”とスミスさんは述べ、バスルームが彼女の客室の中で唯一安全な場所であったと付け加えた。
他の数百万人の旅行者と同じように、スミスさんは多種化学物質過敏症(MCS)である。 MCS は溶剤、VOCs(揮発性有機化合物)、香水、殺虫剤、ガソリン、ディーゼル、煙、一般石油化学物質等の多くの異なる種類の汚染物質に異常に高い感受性、又はアレルギー様反応を示し、しばしば、カビ、花粉、屋内塵性ダニ、及びペットの毛やフケも問題を起こす。
”MCS はアメリカ人口の約12%に影響を与えているが、人口の30%以上が香り過敏(fragrance-sensitive)である”と、カリフォルニア大学サンディエゴ校のアン・スタインマン博士は述べている。
同博士は今秋からオーストラリアのメルボルン大学の土木工学教授であり、持続可能な都市の議長である。
”MCS の人々は、ホテルが本当にグリーンがどうかを教えてくれるので、偉大なカナリアである。
環境には良いかもしれないが、健康には良くないグリーンなホテルがたくさんある”。
MCS は人によって異なる影響を与える。
ある人は香り付き柔軟剤に反応するかもしれず、他の人は放出ガスに反応するかもしれない。
”ある人々は、ある種のハッカにすら過敏かもしれない”と、化学傷害者のための州ベースのある協会の代表はグリーン・ロッジング・ニュースに告げた。
”MCSは、扁桃痛や胃腸系の問題をもたらし、認識力を損なうことがある。それは筋肉と関節に痛みを引き起こすことがある。
それは穏やかに、または激しく人々に影響を与えることがある”。
多くの場所に存在する香り
ホテルでは、香りは一般に洗浄用又は洗濯用製品、空気清浄装置、室内脱臭装置、洗面用品に見られ、ある場合には換気装置に意図的に注入されている。
MCSの人々はまた、塗料、溶剤、接着剤、カビ、喫煙、及び家具からのホルムアルデヒドのような有害物質の放出によっても影響を受ける。
グリーンな洗浄製品は、MCSの人々にとって必ずしも安全ではない。
”柑橘(シトラス)系の製品は大気中のオゾンと反応してホルムアルデヒドを形成することがある”と協会代表は述べた。
汚染物質曝露とそれに関連する健康影響に関する専門家として国際的に認められているスタインマン博士は、彼女は過去数年間に、安全なホテル宿泊設備を見つけるのに苦労しているMCSの旅行者らから数百のe-メールを受けたと述べている。
彼らは、MCSの人々を泊めるホテル目録、例えば Safer Travel Directory (安全な旅行目録)にしばしば頼っている。
スタインマンは博士は、その調査で、グリーンとか有機と呼ばれるものを含んで、広範な香り付き製品を分析したところ、その全てが有害な汚染物質を放出したことを発見した。
しかし事実上、成分が開示されているものはなかった。
スタインマン博士は、洗濯用及び清掃用製品の両方、そして、石けん、ローション、シャンプーのような身体手入れ用品について、香り付きでないものにすることを勧めている。
”香りの化学物質には残留性があり、繊維や表面に付着する”と彼女は言う。
”完全に切り替えて、香りのついていないものにしなさい”。
初めから香りなしとするために、(MCSの人)専用のリネン類及び洗濯機を使用するのが最良であると彼女は述べた。
”空気洗浄装置と脱臭装置は避けなさい”とスタインマン博士は付け加えた。
”グリーン・ラベルに頼らないこと。多くのグリーン製品が香気を含んでいる”。
MCSの旅行者は、旅行中に自身を守るためにどんなこともいとわない。
自身の石けんとシャンプー、シーツ、タオル、そしてベッドのカバーやカーペットさえ持参する。”
MCSの人々は、一軒のホテルでたった一泊するだけのために、そのように多くのものを持ち込む”と彼女は言う。”そして、それでもホテルの部屋で気分が悪くなる”。
殺虫剤や除草剤に注意
ホテル経営者は、駐車場、プール、その他の空気の質が懸念される場所から部屋が離れていることを確認することにより、MCSの旅行者を宿泊させることができる。
害虫を抑制するために総合的病害虫管理技術を用い、除草剤は特に宿泊者に暴露リスクを及ぼす場所では避けること。
香りのブランド化や販売が近年、ますます人気になっているとスタインマンは博士は懸念している。
”香りを振りまくと人々にリスクを及ぼす”と彼女は言う。”子どもは、香り製品の周囲でけいれんやぜんそくの発作を起こす”。
100%の禁煙環境は言うまでもない。窓が開けられることは需要である。最近改装した部屋は、塗料や備品からの放出ガスの可能性があり、MCSの人々にとっては適切でない。
空気清浄器は助けになる
空気清浄器は、そのタイプとどのくらいの頻度でフィルターが交換されているかにより、MCSの人々の助けになるかもしれない。
しかし、オゾン発生器はMCSの人々に問題を引き起こすかもしれない。
シャワーヘッド中の塩素をフィルターで除去することもまた重要である。
ホテルの客室やその他の場所を設計する時に、ガラス、硬質木材、タイル、金属のような不活性な材質を選ぶこともまた重要である。
無線信号がホテル中を飛び交っているので、電磁波(電磁界)に過敏な旅行者に宿泊してもらうことは、ホテルを経営する人々にとって難しい課題である。
電磁波(電磁界)に問題がある人々は、インターネットには無線ではなく有線で接続するのがよい。
スタインマン博士は、MCSの人々に良いことは、ホテル従業員や他の旅行者を含んで、全ての人々に良いことであると述べている。
”このことに早く取り掛かるホテルは、非常に素晴らしいことをしている”と彼女は言う。”彼らは収入を増やし、健康を増進し、コストとリスクを削減することができる”。
Glenn Hasek へのコンタクト: at editor@greenlodgingnews.com