子供は特に危ない
さらに、年齢が若いほどの携帯電話の影響は明確にでます。
・20才前後に携帯を使い始めた人は神経膠腫に5.2倍、聴神経腫に5.0倍なりやすい(*6)
・成人男性に比べ、5歳時は脳で4倍以上、目で12倍以上の電磁波の熱を吸収する。
また、同様に10歳児は脳で2.5倍以上、目で5倍以上の熱を吸収する。(*7)
子供が電磁波の影響をうけやすいのは、頭の骨や皮膚が大人に比べて薄いため電磁波に対して脆弱なのではないかと言われています。
そのため、子供に携帯電話やスマホを安易に使わせる風潮には疑問が残りますし、ヨーロッパでは禁止の方向で動いています。
世界的な状況
以上のような研究を踏まえ、ヨーロッパでは携帯電話の安全対策を加速させています。
・携帯電話基地局の撤去と申請却下(イギリス、2003-2006年)
・憲法を改正し、携帯電話の電磁波から健康を守るよう環境憲章を追加(フランス、2005年)
・携帯電話と電磁波の規制強化(欧州議会、2008年)
・携帯電話と基地局の電磁波曝露規制強化(欧州議会、2009年)
・子供の携帯電話使用制限、もしくは禁止勧告(欧州各国)
(*8)
じゃあどうすればいいのか?
欧米に比べ、残念ながらというか想定内というか、日本では議論や規制・対策が活発ではありません。「携帯の電磁派が危険という人のほうが危険」という人さえいるようです。
ですが、上記のような研究報告を見て「携帯電話は安全」と言い切れる人は少ないと思います。
科学的な心得がある人なら余計にそう感じるでしょう。
日本の政府やメディアを見ていても頼りがいがあるように見えませんし、産業・経済界が好き好んで「携帯電話の電磁波規制」に手をあげようとはしないでしょう。
なので、自分自身が知識を得て対応しないといけません。
ピッツバーグ大学がん研究所の『10の予防的手段』(*9)が良いと思いますので引用します。ご参考になさってください。
また、アルミホイルは電磁波を遮断しますので、携帯電話をアルミホイルに巻いて置いておくのも効果的だと思います。
<ピッツバーグ大学 10の予防的手段>
1.緊急時以外には子どもに携帯電話を使わせない。成長の途上にある胎児や子どもの組織は、大人より電磁波の影響をはるかに受けやすい。
2.携帯電話で通話するときは、端末を身体からできるだけ離すこと。
身体から6センチも離せば電磁波の強さは4分の1にもなる(90センチ離せば、50分の1になる)。
スピーカーフォンタイプの装置やヘッドセットを使えば、100分の1以下になる。
3.バスなど乗り物の中で使用しない。
他の乗客に電磁波を曝露させることになるから。
4.携帯電話を常時身体に密着して持ち歩かないこと。
寝るときに枕元に置くことも止めること。特に妊娠中は厳禁である。
そうしたいのなら、電源をオフにする。
5.身体につけて持ち歩かざるを得ないなら、携帯の「向き」に気をつけること。
操作キーが並んでいる面を身体の側に向けるようにすること。
そうすると、電波が身体を透過する割合が減る。
6.携帯電話の通話時間はできるだけ短くすること。
通話時間が長くなればなるほど、身体への影響が大きくなる。これはコードレス電話でも同じである。
7.(携帯電話で通話する場合は)あてる耳を右側、左側と交互に切り替えること。
また、電話をかける場合は、通話相手が電話に出てからはじめて端末を耳に近づけること。
これで、強い電波が出ている間の曝露をある程度抑えることができる。
8.電波の弱いところや高速で移動している場合などは、通話しないこと。
このような状況では、近接した基地局とつなげるため、最大出力の電波を頻繁に出すことになるから。
9.通話でなくメールで済ませられるならそうする。メ
ールなら身体から端末をかなり離した状態で使用するので、曝露量が抑えられる。
10.SAR値(※)の最も小さい機種を選ぶこと。各機種のSAR値はそれぞれのメーカーのホームページに公開されている。
※SAR値…人体に吸収される電磁波熱量の基準値のこと。各機種の値はメーカーホームページに公開(下記参考↓)
docomo:携帯電話の比吸収率(SAR)について
https://www.nttdocomo.co.jp/product/sar/
au: au電話の比吸収率について
http://www.au.kddi.com/mobile/product/sar-list/#anchor02
ソフトバンク:製品別SAR値(人体に与える電波の影響評価)を確認する
http://www.softbank.jp/mobile/support/sar/
iPhone:RF Exposure
https://www.apple.com/legal/rfexposure/
#SAR値が小さいほど体への影響が少なくなります。
#日本では「局所SARが2.0W/kgの許容値を超えないこと」と決められています。
自分で勉強をしたい方へ
今回の参考文献はかなりためになりますよ。ほかにも色々な情報がありました。
文中の注釈(*)は下記のとおりです。
<注一覧>
*1 矢部 武(2010)『携帯電磁波の人体影響』集英社新書 pp.26
*2 矢部 武(2010)『携帯電磁波の人体影響』集英社新書 pp.97-98
*3 矢部 武(2010)『携帯電磁波の人体影響』集英社新書 pp.100
*4 矢部 武(2010)『携帯電磁波の人体影響』集英社新書 pp.104-114
*5 矢部 武(2010)『携帯電磁波の人体影響』集英社新書 pp.124-127
*6 矢部 武(2010)『携帯電磁波の人体影響』集英社新書 pp.118-120
*7 矢部 武(2010)『携帯電磁波の人体影響』集英社新書 pp.120-123
*8 矢部 武(2010)『携帯電磁波の人体影響』集英社新書 pp.142-174
*9 “10 Tips: Cell Phones & Limitibg Radiation Exposure”(KDKA-TV Pittsburgh,July 23,2008) http://kdka.com/seenon/cell.phones.tips.2.777727.html
以上をご参考のうえ、適切な範囲でのケータイ・スマホライフをお楽しみ下さいm(__)m