・出典;化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
・グランジャン博士のウェブサイト
Chemical Brain Drain - News 2014年2月15日
化学的脳汚染 最新版
情報源:Chemical Brain Drain Website - News
Chemical brain drain update, 15 February, 2014
http://braindrain.dk/2014/02/chemical-brain-drain-update/
訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
掲載日:2014年3月19日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kodomo/CBD/Chemical_brain_drain_update.html
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【2014年2月15日】Lancet Neurology(ランセット神経学)に発表されたばかりのひとつの記事が、脳発達障害の世界的な”静かな流行”を引き起こしているように見える日々の有害物質から子どもたちを守るために、世界中の国々に彼らの化学物質リスク評価手順を変えるよう求めている。
その記事は、以前のランセットのレビューのフォローアップとして最新の証拠に焦点を当てている。
(訳注:この記事はグランジャン博士とランドリガン博士によるレビュー”発達毒性の神経行動的影響(Neurobehavioural effects of developmental toxicity)”のことである。
HEALによる紹介の当研究会訳(化学物質と子どもの脳神経発達阻害に関する新たな証拠)をご覧ください。
2006年のランセットのレビューは、脳に有害な化学物質への暴露は、自閉症、ADHD及び 失読症のような診断を含む神経行動学的障害の世界的な流行を引き起こしていることを示唆していた。
2006年には少数の化学物質だけが発達毒性を引き起こすことを知られていると考えられていた。鉛、メチル水銀、ヒ素、トルエン及びPCBである。
もし、アルコール(エタノール)も産業化学物質であると勘定されるなら6種類となる。
中毒事件の記述から、合計201種の化学物質が当時、人に脳毒性を引き起こすことが可能であることが知られていたが、その証拠のほとんど全ては成人に関するものであった。
発達中の脳は本質的により脆弱であるにもかかわらず、化学的脳汚染の科学的研究は明らかに遅れていた。
その記事は多くの注意を喚起し、450以上の他の科学的記事の中で引用されている。
証拠が完全ではなかったのだから、2006年以来、何も改善されなかったのか? 今回の最新のレビューによれば子どもたちの脳に害を引き起こすことができる化学物質の数は現在2倍になっている。新たに6種類の化合物が加わった。
マンガン、フッ素化合物、クロルピリホス及びDDT(殺虫剤)、テトラクロロエチレン(溶剤)、及びポリ臭化ジフェニルエーテル類(難燃剤)である。
しかし同時に、人の脳(成人)を損なうことが知られている化学物質のリストは217と、大幅に増加した。これらの物質の完全なリストはここから入手できる。
このように、発達中の脳への毒性研究はさらに遅れてしまった。
望ましい研究結果を供給するために子どもに関する疫学的研究を待つことは実行可能な戦略ではない。
実際には、問題の程度が詳細に報告される前に、非常に多くの子どもたちが非常に多くの化学的脳汚染物質に暴露してしまうであろう。
化学的脳汚染の世界的な流行を抑制することは、実際にはほとんど不可能である。
その理由は防止に導くためのデータが欠乏しており、政府の規制には膨大な量の証拠が必要だからである。現在までのところ、発達脳毒性であるとして規制されているのは非常にわずかな化学物質だけである。
問題はその範囲が国際的であり、従ってその解決もまた国際的でなくてはならない。
子どもの脳発達への有害影響を調べるために産業化学物質をテストする手法はすでにある。
今はテストの実施を義務付けるべき時である。
この研究の紹介は、例えば CNN, USAToday 及び Huffington Post等によって発表されている。