・出典;化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
・San Jose Mercury News 2014年3月13日
アップルは悪者か?
活動家グループがiPhoneに使用されている化学物質に抗議
情報源:San Jose Mercury News 03/13/2014
Bad Apple? Groups protest chemicals used in iPhones
By MICHAEL LIEDTKE
http://www.mercurynews.com/business/ci_25329999/bad-apple-groups-protest-chemicals-used-iphones
紹介:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
掲載日:2014年3月16日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_14/140313_Bad_Apple_chemicals_iPhones.html
【サンフランシスコ】中国で組み立てている工場労働者の健康を脅かす有害な化学物質化合物を含む iPhone をアップル社が製造している(訳注1)と主張する二つの活動家グループにより同社の労務政策が攻撃されている。
3月12日(水)に始まったオンライン抗議キャンペーンは、長らくアップル社を批判している China Labor Watch(中国労働監視)と、環境保護団体のGreen Americaの共同で行われている(訳注2)。
もし”悪者アップル”抗議に多くの消費者が署名すれば、同社に圧力がかかり、同社の最もよく売れている iPhone の製造に使用されている二つの化学物質、ベンゼンとノルマル-ヘキサンの使用を断念させることができると同グループらは期待している。
ベンゼンは適切に取り扱われなければ白血病を引き起こす発がん性物質であり、ノルマル-ヘキサンは神経系のダメージと関連付けられている。
アップル社は声明の中で、同社はグリンピースのような環境団体の絶賛を浴びて過去数年の間に塩ビや臭化難燃剤を含んで多くの有害化学物質の使用をすでに止めていることを指摘した。
カリフォルニア州のクパチーノ (Cupeにある本社もまた、残りの全ての有害物質は米国の安全基準遵守していると述べている。
”昨年、我々は、これらの施設が我々の厳格な基準を満たしていることを確実にするために、200近くの工場で有害化学物質に焦点を当てた検査を実施した”とアップル社は述べた。
抗議グループは、アップル社の工場検査及びその結果について公表された報告書は、実際の労働条件を隠して体裁をつくろっていると信じている。
彼らは、海外工場でアップルにより雇われている推定150万人の労働者の多くがいまだに厳しい労働条件を強いられており、ある場合には適切な訓練を受けることなく、有害な物質にさらされているのではないかとの疑念を持っている。
”アップルはこのIT産業における責任あるリーダであると自身を讃えているが、真のリーダであるためにはアップルは労働者が有害物質で毒されるのを止め、病気になった労働者が治療をうけられることを確実にしなくてはならない”と、Green Americaのキャンペーン・ディレクターであるエリザベス・オコンネルは述べた。
より安全な製造仕様を採用しても、 iPhone のコスト影響は1台当たり1ドル以下であると、オコンネルは見積もった。
それは、前会計年度に370億ドル(約3兆7,000億円)を稼いでいる会社にとってわずかな金額である。
ベンゼンやノルマルヘキサンの問題もアップル社の製造プロセスだけに限ったことではない。それらはまた、他の大きなIT機器会社により販売されている電子機器の製造にも使用されている。
例えば、昨年、韓国の裁判所はサムソン電子のコンピュータ・チップ工場におけるベンゼンのレベルは安全であるとする同社の主張に疑念を提起した。
裁判所は、サムソンは2009年に白血病で死んだ29歳の労働者について健康リスクを十分には検証していないと判断を下した。
低レベルのベンゼンはまた、ガソリン、タバコ、塗料、接着剤及び洗剤中にも見出される。
アップルは会社規模が大きく経営に成功しているので、世間に有害物質への注目をひきつけ、他の会社も最終的には改善するよう促すために、アップルは活動団体の目標とされた。
アップルは、他のどの様な上場会社より高い約4,800億ドル(48兆円)の市場価値を豪語している。
そして iPhone は、7年近く前に最初のモデルが市場に出されて以来4億7,000万台以上の機器を販売するという文化現象を維持している。
China Labor Watch(中国労働監視)は、アップルの製造下請け会社の労働条件は非常に過酷なので労働者が自殺に追い込まれていると主張して、特にアップルに対する批判が厳しかった。
アップル社のCEO ティム・クックは、同社の高い基準は工場労働者により良い治療をもたらし、材料供給者の有害物質への依存を削減してきたと断固として主張した。
”ティム・クックが経営支配を行うようになって以来、サプライチェーンへのアップル社の透明性と説明責任は著しく改善され、会社における彼の指導力は急速に評判となっている”と、グリーンピースのエネルギー・キャンペン担当のトム・ダウダルは先月ブログに書き込んだ(訳注3)。
訳注1:ドキュメンタリーフィルムについての当研究会の紹介
YouTube 2014年3月4日 ドキュメンタリーフィルム(短縮版 10分 英語)だれがその対価を払うのか? 中国電子産業における人間の犠牲
訳注2:Green America のアップル社に対する抗議キャンペーン
?Bad Apple: End Smartphone Sweatshops
(2014年3月12日発表キャンペーン/悪者アップル:スマートフォンの搾取工場を止めろ)
?New Campaign Calls on Apple to End Worker Poisoning in iPhone and Other Supplier Factories
(2014年3月12日 プレスリリース)
訳注3:Greenpeace USA のプレスリリース
Greenpeace USA Media release - February 13, 2014, Greenpeace Applauds Apple for Cutting Conflict Minerals, Supply Chain Transparency