汚染が進む中国人は土壌と食料の汚染を恐れる | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典:化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html

・New York Times 2013年12月30日
汚染が進む中国人は土壌と食料の汚染を恐れる
情報源:The New York Times, December 30, 2013
Pollution Rising, Chinese Fear for Soil and Food
By EDWARD WONG
http://www.nytimes.com/2013/12/31/world/asia/good-earth-no-more -
soil-pollution-plagues-chinese-countryside.html?pagewanted=1&_r=2

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
掲載日:2014年1月2日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/Kaigai_13/131230_NYT_Pollution_in_China_Soil_and_Food.html

Sim Chi Yin for The New York Times
湖南省衡陽市の鉛工場が遠くに見える畑で働く農婦。

学者は土壌汚染が特に激しい所という。

【チェンジアワン(CHENJIAWAN)中国】 中国の”農場から食卓へ”プロセスは、農業の中心部にあるこのような村から始まる。

ゴーア・ソーンチーンと彼女の隣人たちの畑からの食料は彼らの台所や地域の市場へ集まり、そして他の県に行く。

中国の主要産物は、米、キャベツ、ニンジン、カブ、そしてサツマイモである。

 しかし畑は工場に囲まれ、灌漑用水は産業廃棄物により汚染されている。

ここの廃水中の有害重金属のレベルは中国で最も高い部類に入り、住民は土壌も同様に汚染されていることを恐れている。

彼らは科学的証拠は持っていないが、がんによる死亡の多発は汚染と関連があるのではないかと疑い、子どもたちの血中の鉛レベルについて心配している。

 ”もちろん、私は恐れているわよ”と60代のゴーアさんは、彼女の畑の向こうにぼんやり見える煙突と、彼女が孫娘と元兵士のその夫と一緒に住む家を囲む淀んで藻がいっぱいの用水路を指しながら言った。

”でも私は健康診断を受けない。もし私が、がんだとわかると子どもたちに負担をかけるだけだから”。

 中国の厳しい環境悪化が進んでいることを知って、昨年来、普通の中国人及び当局者の間に、同国の農業中心地の土壌汚染及び食物連鎖への潜在的な影響についての不安が高まっている。

近年、政府は中国全土で広範な土壌テストを実施したが、その結果は発表されておらず、そのことが不安を増大し、ほとんどの中国人にとって、何を食べればよいのか判断したり、工場に対する怒りを正確に向けることを難しくしている。

  月曜日(2013年12月30日)、国土資源省の王世元次官が北京での記者会見で、中国の農地でメリーランド州と同じくらいの広さの800万エーカーが非常に汚染されているので、そこでの作物の栽培は”許されるべきではない”という驚くべき公式見解を発表した(訳注1)。


訳注:中国地図(参考用)
 南に位置する広東省当局は、市場、レストラン、店舗から収集した米155サンプル中に極めて高いレベルのカドミウムを検出したと5月に発表した。それらのうち、89サンプルはゴーアさんの農場のある湖南省からのものであった。

 この報告は全国的に恐怖を巻き起こした。6月には、公式の英文紙であるChina Dailyは、”重金属による土壌汚染は国家の食料安全の基盤を損ない、公衆の健康危害をもたらす”と述べる社説を発表した。

 環境保護省により今年に発表されたある本によれば、中国の耕地の6分の1、5,000万エーカーが汚染被害を被っている。

その本『土壌汚染と体の健康』は、毎年収穫される1,300万トン以上の作物が重金属で汚染されており、2,200万エーカーの耕地が農薬の影響を受けていると述べている。

 しかし政府は汚染の詳細を明かすことを拒否し、農民や消費者は食物連鎖中の汚染レベルについて知らされぬままである。2010年に完成した土壌調査の結果は、”国家機密”として公開されていない。

 ”状況がいかに悪いかを知ることは常に公衆の権利であると思う”と、有害土壌を調査しているグリーンピース東南アジアのマ・ティアンジは述べた。

”中国の公衆は、我々の環境が汚染されているという事実を受け入れえることはできる。重要なことは、汚染者に異議を申立て、環境を改善するための手段を彼らに与え、彼らに情報を閉ざさないことである”。

 この問題について政府高官によるいくらかの自認があった。1月に、中国の内閣である国務院は、2015年までに包括的に土壌汚染を監視するためのシステムを確立し、土壌処理のためのパイロット・プロジェクトを推進するであろうと発表した。

 学者らは、土壌汚染は、中国の米作地帯である湖南省で特に深刻であると言っている。

市場調査会社によれば、2012年に湖南省は、全国の生産高の16%にあたる1,700万トンのコメを生産した。

 湖南省はまた、中国の非鉄金属の上位生産省のひとつである。

その結果、北京を拠点とする調査グループある公衆環境問題研究所により2011年に収集されたデータによれば、同省はカドミウム、クロム、鉛及び非金属ヒ素の上位汚染省である。

 同年、同省の産業排水が測定された時に、全国のカドミウム汚染の41%を占めていたが、その数値は同グループにより初めてデータが収集された2004年以来30%以下になったことはない。

その廃水は川に放出され、その川から灌漑用水路に流れている。

 ”コメの生産高を高いレベルで維持するよう中央政府から湖南省に圧力がある”と、グリーンピース・プログラム・ディレクターのマ氏は言う。”一方、コメの生産は、産業開発のようなGDPの成長をもたらさない”。

 湖南省の豊富な金属資源は、マ氏が言うところの二つの相いれない衝突に取り込まれた省共産党指導部により、鉱山と製錬所をさらに開発するようにとの圧力をもたらしている。

”彼らは国にコメを提供しなくてはならないが、一方彼らは経済成長も望んでいる”。