・出展:ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
http://kokumin-kaigi.org/
・ネオニコ削減をめぐる各地の動き
理事 水野 玲子
国民会議では、2009年よりネオニコチノイド系農薬(以下「ネオニコ」)の使用中止を求めて活動してきたが、この問題については、2013年にEUがミツバチ大量死の原因と疑われたクロチアニジン(商品名 ダントツ)を含め3成分の暫定的使用中止を決定し、状況が大きく進展した。
さらに昨年12月、欧州食品安全機関(EFSA)は、ネオニコがヒトの脳神経の発達にも悪い影響を与える恐れがあると表明し、それをウォールストリート・ジャーナル、ル・モンド、ニューヨーク・タイムズ、ガーデアンなど、多くの欧米の主要メディアが報じたことにより、この問題は大きな社会的関心を呼び起こしている。
一方日本では、ヨーロッパの動きに逆行するかのように、国はネオニコの使用をさらに促進し、農作物への残留基準の大幅緩和を進めようとしている。
ところが地方では、ネオニコ削減に向けて動き出しており、ネオニコを使用しない環境保全型農業を目指す動きだけでなく、鳥やミツバチなど大切な生き物と生態系を守るために、ネオニコの使用を止めようとする地域がでてきた。
茨城県笠間市 斑点米カメムシ防除の空散地
域を縮小!(2014年1月12日 茨城県 笠間市訪問)
各地で無農薬米づくりと“ネオニコフリー”の動きが広がってきた。
茨城県の笠間市は、三方を山に囲まれた自然豊かな地域である。
なかでも上郷地域は、近隣の山からきれいな沢水がわきでていて、毎年5月末からはゲンジホタルが飛び交う美しい土地である。
この地域では、農薬に頼らない環境保全型農業を進めているが、行政も後押しするかたちで、地域おこしの一環としてネオニコ削減の動きが広がっている。
とくにネオニコを使用しないお米作りの輪を熱心に勧めているのが、この地域の「うまい米づくり研究会」の代表の生駒敏文さんだ。
150haの田んぼでお米が作られているが、今年の農薬の空中散布の予定は31.72haのみで、これまでに100ha以上の田んぼで空中散布を中止することに成功してきた。
カメムシ防除のための空中散布は全国的に実施されているが、この笠間市でも稲の穂が出る頃には長年空中散布が行われてきた。最近ではそのための薬剤として、スタークル剤(成分:ジノテフラン)やダントツ(成分:クロチアニジン)などのネオニコが散布され、それが各地でミツバチ大量死を引き起こしてきた。
カメムシによって被害を受けてできる斑点米は、1000粒にわずか数粒であり、それをなくすためだけの空中散布は本来必要がないはずである。
生駒さんは、色彩選別機さえあれば斑点米をはじくことが容易であり、それを購入して地域の人達に空中散布を止めるように説得し続けてきた。
もしも空中散布を止めたならば、収穫量も減りうまく米ができないのではないかと不安になる農家を、その時には「自分が責任を取る」と宣言することによって、空散を減らすことに成功してきた。