有害化学物質の現状を藤森敬三氏に聞く(1-2) | 化学物質過敏症 runのブログ

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・「従来、化学物質の安全性は、
(1)急性毒性(比較的短期間で毒性があらわれる)
(2)発ガン性
(3)催奇性(奇形を誘発する性質)
の観点でチェックして、排出濃度規制をしてきた。

しかし今後は、動物の体内であたかもホルモンのように作用する“環境ホルモン(内分泌撹乱化学物質)”についても重点的に対策をとる必要がある。

 もちろん全ての毒性物質についての完全な対応をしていかなくてはならないのだが、環境ホルモンは他の毒性問題と比べて極めて微量でも作用をおよぼしてしまうという特徴を持つ。環境ホルモンはppbやppt(濃度の単位。コラム参照)といった、従来の毒性のさらに1000分の1あるいは100万分の1といったレベルの濃度で影響が出てくるといわれている。
また、環境ホルモンは人間や動物の生殖機能に顕著な障害をおよぼすということも重要で、この問題は正に種の滅亡に直結している。

 12日間のツアーでの主な訪問先は、

デンマーク コペンハーゲン大学
デンマーク EPA(環境庁)
スウェーデン 化学物質管理機関
スウェーデン SAKAB(有害物処理工場)
ノルウェー NIVA(水質研究所)
イギリス ZENECA(環境研究所)
イギリス DETR(環境庁)
イギリス MAFF(農業・漁業・食糧庁)
と非常に充実した内容だった。

「この視察で、我が国も総力を上げて人の健康を守るために何をすべきか、化学物質の管理をどうするべきかという問題に対して、すべての経済活動、社会活動を見直していかなければならないと強く思った」ツアーの模様は来月号で詳しく紹介する予定である。
 問題が起こってからでないと対応しないというのがあたりまえの日本。

しかし、私たちの知らないところで環境先進国は確実に有害化学物質への対策をとっている。その違いはやはり人間一人ひとりの意識の高さによるものであろう。

有害化学物質問題に限らず、一般に環境問題は“危ないらしいのだけれど、よくわからないし、どうしようもない”では何も解決しないし、状況は悪化する一方である。

少しでも状況を改善するには、正しい知識を備え、有効な対策をとっていく必要がある。


「単位について」
 化学の分野で用いられる単位の中にはふだん見かけないものも多く、それだけで戸惑ってしまうこともあるかもしれない。

特に微小な質量と微小な濃度の単位は新聞・雑誌などでも頻出しているので、ここにまとめてみた。

これらの単位に慣れていない方は参考にしていただききたい。
 化学分野では質量はmg(ミリグラム)よりもさらに小さな単位も扱う必要がある。また、濃度の単位では極めて薄い濃度も扱う。

質量の単位をまとめると、

1kg(キログラム)=1000 g
1mg(ミリグラム)=1/1,000 g
1μg(マイクログラム)=1/1,000,000 g(100万分の1グラム)
1ng(ナノグラム)=1/1,000,000,000 g(10億分の1グラム)
1pg(ピコグラム)=1/1,000,000,000,000 g(1兆分の1グラム)
となる。
濃度を表す単位もまとめてみよう。
たとえば1キログラムの水の中に1ミリグラムの化学物質が含まれる場合、その濃度は1/1,000,000(100万分の1)である。

これを1ppm(parts per million)と表す。ppb(parts per billion)、ppt(parts per trillion)も以下のような微小濃度を表す。

1ppm=1/1,000,000 (100万分の1)
1ppb=1/1,000,000,000 (10億分の1)
1ppt=1/1,000,000,000,000 (1兆分の1)