製品廃棄後のBFRsの挙動としては、規制物質含有製品が最終処分された場合もしくは不法投棄などで屋外に放置された場合の環境影響の程度を把握する必要があります。そのため、破砕した各種製品を純水と一定時間混和させてBFRsの水への溶出量を調べる試験(溶出試験)や水中のBFRsが土壌に吸着するか調べる試験(土壌吸着試験)を実施しています。その結果、難燃製品は雨水や地下水等との接触によりPBDEsやHBCDsを溶出すること、また、溶出したBFRsは土壌に吸着されやすいことが示されました。水中の有機物含有量が高いとPBDEs等の溶出が促進されるとの報告があることから、食品廃棄物等の有機物も投棄されている途上国のごみ集積場においてはBFRsの環境排出の程度がより深刻な可能性があります。
本号で特集している通り、途上国では、法整備が遅れている、もしくは効果的に機能していないなどの理由から、E-wasteが不適正に処理されている場合があり、周辺環境や作業者、近隣住民への健康影響を懸念する報告が相次ぎ、国際的に大きな問題となっています。ところが、日本国内に目を向けてみると、各種リサイクル法が整備され使用済み製品の処理責任が明確化され、リサイクルが推進されてきているにもかかわらず、家電製品やパソコン、自動車などの不法投棄があとを絶ちません。投棄の規模や種類に大小はあると思いますが、その要因や背景を整理するとともに、局所汚染を引き起こす可能性がある現場を丁寧に調査する必要があると考えています。
(かじわら なつこ、資源循環・廃棄物研究センター ライフサイクル物質管理研究室 主任研究員)