製品中臭素系難燃剤の使用時及び廃棄後の挙動 | 化学物質過敏症 runのブログ

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製品中臭素系難燃剤の使用時及び廃棄後の挙動
特集 アジアのE-wasteリサイクルを通じた資源と有害物質の管理
【環境問題基礎知識】
梶原 夏子
 化学物質は、私たちが生活していく上でなくてはならないものですが、その一方で安全性に関する社会問題が生じる場合があることもまた事実です。安全な社会をつくるためには、化学物質のリスクをきちんと理解し、管理または削減する努力をすることが重要です。有害性が認知された化学物質は国際的に規制され、生物や環境へのリスクを低減するために、生産・使用が禁止されたり、新たな使用に制限がかかるなどの措置が取られます。しかしながら、既に使用下にある製品が回収されるとは限らないため、規制物質含有製品の使用が継続する場合があります。たとえば家電製品や家具などは製品寿命が長く、家庭などに長期間とどまることから、使用時の 製品からヒトへの化学物質曝露の評価は重要です。また、どのような製品であってもいずれは寿命を迎えて廃棄されることになりますが、その際に、焼却や埋め立て、リサイクルに伴って規制物質が環境に放出される可能性を最小限に抑える必要があります。つまり、ある化学物質の規制が始まり、より安全と考えられる別な物質への代替化が進んだとしても、使用中の製品からの当該物質の曝露および廃棄物処理という課題は残ることになります。
 資源循環・廃棄物研究センターでは、製品使用時および廃棄後のリスク管理を考える上で重要なケースを抽出して実態調査および実証試験を進めています。ここでは、製品中有害物質の例として、ポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)およびヘキサブロモシクロドデカン(HBCDs)という二種類の臭素系難燃剤(BFRs)を取り上げたいと思います。難燃剤とは、プラスチックや化学繊維など可燃性素材を燃えにくくし、火災被害の軽減をはかるために添加される化学物質の総称で、臭素系、塩素系、リン系、無機系など多くの種類があります。今回ご紹介するPBDEsは主にテレビやパソコンなどの電気製品に、HBCDsはカーテンや建築用断熱材の防炎加工に使用されているもので、どちらも近年、ポリ塩素化ビフェニル(PCB)類や塩素化ダイオキシン類などと同様の管理が必要な物質として国際的に使用規制が強化された物質です。