日弁連:電磁波問題に関する意見書5 | 化学物質過敏症 runのブログ

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(2) 日本の規制の現状と問題点
日本国内において,電磁波については,高周波と低周波について,それぞれ総務省,経済産業省が規制を行っている。
① 高周波に関する規制(電波防護指針 総務省)高周波に関しては,1990年6月,国際放射線防護学会(IRPA)の指針や米国規格協会(ANSI)の基準を参考として,電波防護指針が定められており,この指針は前述のICNIRPガイドラインに準拠している。
この日本が準拠しているICNIRPガイドラインは,電磁波の熱効果を考慮して定められており,例えば,高周波の公衆の曝露数値のガイドラインは,例えば900MHzの場合は450μW/c㎡,1800MHzの場合は900μW/c㎡などとされている14。
② 低周波に関する規制(経済産業省)
低周波に関しては,電気事業法に基づいて定められた,電気設備に関する
技術基準を定める省令の第27条1項によって,特別高圧(7000Vを超
えるもの)の架空電線路について,原則として地表上1mにおける電界強度
が3KV/m以下となるように施設しなければならないとされている。

また,
13 WHOはファクトシート(2007年6月「超低周波の電磁界及び磁界への曝露」)において,白血病以外の小児がん,成人のがん,鬱病,自殺,心臓血管系疾患等と低周波電磁界との関連性を支持する科学的証拠は小児白血病のそれよりさらに弱いとし,長期的影響は曝露低減により健康上の便益があるか不明なので科学的証拠の不確かさを低減するための研究プログラムの推進,利害関係者で開かれたコミュニケーション・プログラムの構築,新たな設備を建設する際には曝露限度低減のための低費用の方法の探索を推奨すること,などを指摘するにとどまる。
14 なお,低周波については,2010年には「時間変化する電界及び磁界への曝露制限に関するガイドライン(1Hz~100Hz)」で,それまでより更に緩い数値に改訂した。

現在の公衆の曝露数値のガイドラインは,例えば,電界が,50Hzの場合で5.0kV/m,60Hzの場合で4.2kV/m,磁界が,50Hzの場合で200μT(2000mG),60Hzの場合で200μT(2000mG)である。
同省令の第27条の2によって,人によって占められる空間に相当する空間
の,電線などから出る磁束密度の平均値が,商用周波数において200μT
以下になるように規制されている。
③ 問題点
ア ICNIRPガイドラインの問題点
まず,前述のとおりICNIRPガイドラインは,電磁波の熱効果しか考慮しておらず,慢性影響や非熱効果などが考慮されていない。
そして,健康影響を懸念する研究データの0.4μT等の数字と比べ格段に緩い数値であること,そもそもICNIRPは公的な機関でないこと,後述(3)のとおり,独自に厳格な数値規制を設ける国や地域があることなど
を考えれば,ガイドライン値が「安全値」とは決していえないと考える必要があろう。
イ 高周波に関する規制の問題点
高周波に関する日本の規制は,ICNIRPガイドラインとほぼ同等のものであり(周波数によってはICNIRPガイドラインよりも緩やかである。),日本の規制が熱効果しか考慮しておらず,緩やかな規制となっていることは問題である。
ウ 低周波に関する規制の問題点
低周波に関しては,2011年に磁界の規制が新設されたが,緩和されたICNIRPのガイドラインに準拠した200μTという非常に緩やかな値であることが問題であるといえる。