●内分泌かく乱化学物質(EDC)規制
EDCは、乳がん、糖尿病、男性の生殖機能の低下、肥満、出生異常、ADHDの原因物質であると考えられており、ヒトの健康に深刻な問題をもたらします。
不妊症の男性は、生殖能力のある男性に比べて尿中のフタル酸エステル濃度が高いことがわかっています。
EDCは、ビスフェノールA、フタル酸エステル類、パラベン、一部の農薬など、多くの化学物質に含まれており、このような化学物質は多種多様な製品に使用されています。
例えば、フタル酸エステルは、プラスチック難燃剤を使用した床、ボール、マットレス、ソファ、カーペットなどに使用されており、幼稚園のダストは、家庭のダストに比べてフタル酸エステルの濃度が高いことが調査により判明しています。
化粧品(シャンプー、石鹸、メークアップ化粧品を含む)の30%にはEDCが含まれています。
欧州では、2014年にEDCに関する基準を決定し、2015年初めには施行する予定になっています。
この基準が決定すれば、農薬やバイオサイドなど、全ての化学物質規制においてEDCに同じ基準を適用することになります。
農薬規制ではEDCを含有する農薬は禁止されることになりますが、農薬業界はこれが実施されればEUの穀物の50%が失われると反対しています。
しかし、この規制は最終的には消費者にとっては利益になることです。EUで育てられた穀物の半数がEDCで汚染されているということは許されるものではありません。
EDC規制は、業界と消費者のどちらが勝つかというせめぎあいの状態にあります。
NGO団体も、この闘いに勝利するため、消費者に対する情報提供等の活動を進めています。
ドイツの環境NGOである「BUND」は、6万以上の化粧品のうち、15のEDC物質が含まれているか否かを確認することができる携帯アプリ「TOXFOX」を開発し、今年の夏以降に450万件のアクセスがありました。
Chem Secは、専門家の協力を得て独自の研究を行い、2011年にSINリストに22のEDCを追加しました。
●結論と提言
私達は、日常生活において子ども達の健康が化学物質によって影響を受けているということを認識しなければなりません。
特に、EDCが人間の生殖機能を脅かすものであることは科学的にも明らかです。
今後、EUが有害化学物質を段階的に廃止していった場合、EU域外にもEUの取り組みが世界に広がっていくことが望ましいと考えます。各地域で異なる規制基準があることは望ましくありあません。
また、EUが規制をすることによって、他の地域においても国内企業の競争力を脅かすことなく化学物質を規制することが可能になると思われます。
日本が将来的にEDCを規制するか、大いに注目していきたいと思います。
(報告 広報委員 粟谷しのぶ)
runより:化学物質問題は世界規模、はっきりわかりますね(o´・ω・)´-ω-)ウン