EU化学物質規制の最近の動向 | 化学物質過敏症 runのブログ

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EU化学物質規制の最近の動向
Chem Sec理事
アンソフィエ・アンダーソン氏
●Chem Secについて
 私はChem Secという非営利環境団体の理事として活動しています。Chem Secは、有害化学物質の問題は国内レベルで解決できるものではなく、グローバルレベルでのみ解決できる問題であると考えています。

政治家、科学者、企業、市民など様々な立場の人々が連帯し、正しい方向に向かうようにしなければなりません。

産業界の利益を脅かすことなく化学物質を規制することは十分可能です。それを促すために、私達は、どの製品にどのような化学物質が含まれているか調査し、投資家等に情報提供するという活動も行っています。

●REACHの最近の動向
 REACHとは、化学物質の登録、評価、認可及び制限に関する欧州規則のことです。

日本企業を含めたEU域外の企業にとっても、EU域内に化学物質やその含有製品を上市するためにはREACHを遵守しなければなりません。
 REACHの枠組みにおいては、まず、化学物質の製造・輸入業者が、化学物質を上市する前に、欧州化学物質庁に有害性情報等を提供し、登録しなければなりません。

この登録は、新規化学物質と既存化学物質を含め、どのような化学物質が製造・輸入され、それぞれの化学物質がどのような有害性をもつのかを把握するためのものです。

REACHによって産業界には様々な負担が増えるため、当初、産業界はこの規制に強く反対しました。

私達ChemSecを含めた市民団体は長年にわたる闘いを経てREACHを実現させました。
 REACHの中で特に重要なのは高懸念物質の規制です。

①一定程度以上の発ガン性・変異原性・生殖毒性物質(CMR物質)、

②残留性、蓄積性、毒性を有する物質(PBT物質)、

③残留性及び蓄積性が極めて高い物質(vPvB物質)、

④上記以外の化学物質で、内分泌かく乱特性を有しており人の健康や環境に深刻な影響がありそうなものが高懸念物質とされ、現在144の物質がリストアップされています。

高懸念物質にリスト化されれば使用に際して認可が必要となります。

また、高懸念物質が製品に含有されていることが消費者にわかれば、Twitterなどのソーシャルメディアを通じて情報がすぐに世間に広まり、メーカーにとっては大きな打撃です。

化学物質の下流企業にあたるメーカーとしてはリストアップされる前に予め使用を避けて代替品を使用したいところですが、事前に十分な情報がないため事前に対策をとることは困難です。
 Chem Secは、このような高懸念物質にリスト化されるべき化学物質をSINリストとしてリストアップするプロジェクトを立ち上げました。

企業にとっては、SINリストによってどの化学物質が将来的に高懸念物質にリストアップされうるかを予見できるというメリットがあります。

一方、ChemSecとしては、欧州化学物質庁に対してこのような化学物質をリストアップすべきという提言をすることができます。

Chem Secは、2008年に250の化学物質をSINリストにあげました。

●REACHの成功と失敗
 REACHを実現したことによって、大手企業のみならず中小企業も含めた多くの企業が化学物質の管理を意識し、市場における化学物質管理を推進するようになり、高懸念物質の候補リストに含まれる物質を市場で使わないようにするという動きが出てきています。
 しかし、化学物質を登録する際に企業が提出すべき情報の要件は、化学物質を評価するには不十分で、企業が提供した情報だけでは判断することできないという問題点があります。

企業が登録のために提供した情報の質が悪い場合もあります。

化学物質によって引き起こされる健康上の問題を解決するには、さらなる法規制が必要です。

特に、内分泌かく乱化学物質(EDC)は、多くの問題を発生させており、欧州で現在規制に対する議論が起こっています。