・出典:国土交通省
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/sick_school/shiiryou/Kokudo_Koutuu/tuuchi_kakutei.pdf
国住備第3 4 号
平成20年7月7日
各都道府県知事殿
国土交通省住宅局長
「シックハウス症候群患者」の公営住宅への入居について
居住環境に由来する健康障害を総称するいわゆるシックハウス症候群(以下「シックハウス症候群」という。)については、これまで政府として様々な対策を講じてきており一定の成果を上げてきているところである。
しかしながら、依然としてシックハウス症候群の患者が存在し、そのうち、住居における化学物質を原因とするシックハウス症候群患者(以下「シックハウス症候群患者」という。)の中には、自宅に住むことが困難となっている者が存在する。
このため、この度、「シックハウス症候群患者の公営住宅確保に係る医学的な知見に関するガイドライン」(別添)(以下「ガイドライン」という。)が厚生労働科学特別研究事業の中で作成されたことを受け、住居における化学物質を原因とするシックハウス症候群患者であって、現在の居住地から転居することが健康上有効と診断されたものについて、発症の原因を取り除くための自宅の改築等一定期間における一時的な居住の場の確保等を図るため、当該者の公営住宅(公営住宅法(昭和26年法律第193号)第2条第2号に規定する公営住宅をいう。以下同じ。)への入居の取扱い等に関し、以下の事項について特段の配慮をお願いする。
また、貴管内の事業主体に対してもこの旨周知されるようお願いする。
なお、本通知の内容については、厚生労働省とも協議済みであり、同省から地方公共団体の衛生主管部局にも通知される予定であることを念のため申し添える。
記
第一公営住宅の目的外使用について
事業主体は、公営住宅の本来の入居対象者の入居を阻害せず、公営住宅の適正かつ合理的な管理に支障のない範囲内で、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)(以下「補助金適正化法」という。)第22条の規定に基づく承認を得た上で、発症の原因を取り除くための自宅の改築等一定期間における一時的な居住の場を確保するため、シックハウス症候群患者に公営住宅を目的外使用させることができる。
事業主体は、目的外使用させる場合であっても、当該住宅の使用状況を把握すること等適正かつ合理的な管理を行うよう努めること。
目的外使用に係る国土交通大臣の承認については以下のように取り扱う。
一次に掲げるすべての要件に該当する場合には、公営住宅をシックハウス症候群患者に目的外使用させたときから一ヶ月以内に、別記様式により地方整備局長等(補助金適正化法第26条第1項の規定により国土交通大臣の権限を委任された地方整備局長、北海道開発局長及び沖縄総合事務局長をいう。)に事後報告することをもって、補助金適正化法第22条に規定する承認があったものとして取り扱う。
① 目的外使用によって入居を認められるシックハウス症候群患者は、住居における化学物質を原因として発症したことが本人及び住居の検査で明らかになっており、現在の住宅に継続して居住することが健康上不適切であり、かつ、当該住宅から転居することが健康上有効であることが客観的に証明される者であること。
なお、事業主体は、入居申込者からシックハウス症候群の症状の申告があった場合には、クリーンルーム(環境中に微量に存在する物質を除去した超清潔空間の中で、これらの物質を定量的に患者に負荷することにより様々な検査を行うための施設)又は専門外来を設置している医療機関のシックハウス症候群について知見を有する医師により作成されたシックハウス症候群に関する診断書(ガイドライン別紙)により申告内容の確認を行うこと。
② 目的外使用に係る期間については、予めシックハウス症候群患者から必要な期間を聴取した上で、原則として一年を超えない期間を設定すること。
③ 目的外使用させる場合の使用料については、近傍同種の住宅の家賃以下で公営住宅の入居者に係る家賃と均衡を失しない範囲で、公営住宅の入居者家賃の決定に準じて、①のシックハウス症候群患者の経済状況に応じて適切に設定するものとすること。
二一の基準に該当しないものであっても、特別な事情がある場合においては、地方整備局長等の承認を得て目的外使用することができる。