PLoS ONE February 2012 | Volume 7 | Issue 2 | e32432
ネオニコチノイド系農薬イミダクロプリド、アセタミプリドはラット新生仔の小脳神経細胞にニコチン様の影響を及ぼす
東京都医学総合研究所、脳発達・神経再生研究分野
木村ー黒田純子、小牟田縁、黒田洋一郎、林雅晴、川野仁
背景:ネオニコチノイド系農薬イミダクロプリド、アセタミプリドはニコチン類似構造を持ち、ニコチン性アセチルコリン受容体を標的として近年多用されている。
ネオニコチノイド系農薬について、昆虫への毒性に関する研究報告は多いが、哺乳類への影響は十分に調べられていない。
ニコチン性アセチルコリン受容体は、哺乳類の脳機能、特に発達期の脳で重要な役割を果たしていることから、ネオニコチノイド系農薬の哺乳類への影響を調べることは人間の健康面から重要である。
そこで我々はネオニコチノイドの影響を、発達期の哺乳類神経細胞培養を用いて、脳発達への悪影響が確認されているニコチンと比較して検討した。
方法と結果:用いたラット新生仔の小脳神経細胞培養は、化学物質の発達期神経毒性を調べる実験系としてよく使われており、またニコチン性アセチルコリン受容体α3、α4、α7を発現していることを我々は確認した。
この培養神経細胞にイミダクロプリド、アセタミプリド、ニコチンを投与したところ、1マイクロモル以上の濃度で興奮性反応を起こした。
ネオニコチノイド2種による興奮性反応は、パターンや興奮細胞の数などニコチンとの違いも見られたが、これまで報告されてきた結合試験の結果の予想を越え、ニコチンに近い反応を起こすことが確認された。さらにこれらの反応は、ニコチン性受容体の特異的阻害剤で抑制された。
結論:以上、ネオニコチノイド系農薬イミダクロプリド、アセタミプリドは哺乳類ニコチン性アセチルコリン受容体にニコチンと極めて近い反応を起こすことから、ニコチン同様にヒトへの毒性、特に発達期脳に悪影響を及ぼす可能性がある。
runより:ニコチンと非常に近いというだけで十分脅威なのに作物に残留するという「食べる殺虫剤」です。
さすがにコレはいかんでしょう(´_`。)