ベーパー中の粒子の質量は、空気1立法メートル当たり約3ミリグラムであると、彼は述べている。
これは、環境保護庁(EPA)の空気中の微粒子の24時間暴露限界より約100倍高い値である。
ソルンブルグのグループの分析は、これらの吸入された粒子の約40%くらいが、肺の最も小さな、深い気道の内部に沈着するであろうことを予測している。
ニコチンと溶剤に加えて、ベーパーはまた電子タバコ液からの化学的添加物(フレーバリング)と食品保存剤を含んでいる。
それらはFDAにより GRASである (generally recognized as safe:一般に安全と認められる)と認められているかもしれないが、ソルンブルグが言うには、その指定は、(口から)摂取される時のそれらの化合物のテストに基づいている。”それが吸入されたときの安全性について考慮する人は誰もいない”と、彼は述べている。
そして、電子タバコのベーパーは、殺菌が難しい危険な病原菌にすらなることがあるとローラ・クロッティ・アレキサンダーは5月18日にサンディエゴでの米胸部学会(American Thoracic Society)の会議で報告した。肺及び救急救命医でありバージニア・サンディエゴ・ヘルスケア・システムの科学者である彼女は、MRSA という名前で知られるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌を電子タバコに暴露させた。
肺炎を引き起こすこれらの抗生物質耐性細菌は、人間の体が作る天然の抗生物質である殺菌タンパク質(germ-killing protein fragment)を用いても殺菌するのが難しいことを実験用平皿の中で示した。
ひとつの理由:ニコチンの多いベーパーに曝露させられた病原菌は、薄いバイオフィルムを分泌し、コーティングして自身を保護した。
クロッティ・アレキサンダーはまた、電子タバコのベーパーに曝露させた MRSA を含む空気中でマウスに呼吸させた。
1日後、ベーパー暴露病原菌を得たマウスは、非曝露病原菌を得たマウスに比べて、肺の中に3倍多くの病原菌を持った。
”我々は、喫煙患者に電子タバコに切り替えるべきかどうかに関して助言することができるよう、これらの研究を始めた”と彼女は述べている。
”私のデータは今、二つの悪魔(訳注:従来のタバコと電子タバコ)のうち、電子タバコの方が害が小さいかもしれないことを示している。しかし、電子タバコは良性というわけではないことは明らかである”。