・出典;化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
・Science News 2014年6月3日
電子タバコの健康リスクが明らかに
情報源:Science News, June 3, 2014
Health risks of e-cigarettes emerge
by Janet Raloff
https://www.sciencenews.org/article/health-risks-e-cigarettes-emerge
訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2014年6月8日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/news/140603_Science_News_e-cigarettes.html
通常のタバコより安全であるとして市場に出されている電子タバコは、発がん性物質を含んで有害化学物質のカクテルを肺に送り込んでいると、新たないくつかの研究が示している。
ある研究によれば、電子タバコを使用すると、細菌に対して細菌性感染症薬剤への耐性さえ作るかも知れない。
技術者らは、喫煙者に対して煙の出ないニコチン源を提供するために、数年前に電子タバコを開発した。
この装置は、使用者が電子タバコとして吸入する(vape)液体を加熱する。電子タバコは燃焼しないので、煙を出さない。
”電子タバコは通常のタバコより有害性が低いことは疑いない”とカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のタバコ管理研究・教育センター(Center for Tobacco Control Research and Education)のディレクター、スタントン・グランツは述べている。
しかし電子タバコのベーパー(蒸気)の毒性について目を向けた研究はほとんどなかった。
その結果、科学者らは電子タバコの安全性について述べることに慎重であった。
医学専門誌『Circulation』の5月13日のレビューで、グランツと彼の研究チームは電子タバコ使用者(vapers)が吸入しているものに関して明らかになっているデータを精査し、彼が言うには、科学者らが考えていたより大きなリスクを発見した。
電子タバコは、高いレベルのナノ粒子をもたらし、それらは炎症を引き起こすことができ、ぜんそく、発作(脳卒中)、心臓疾患、及び糖尿病に関連していることを研究者らは発見した(SN: 7/18/09, p. 26)。そのレベルは、”心臓疾患及び炎症が関わるその他の慢性症状について実際にに懸念をもたらすレベルである”と、彼は述べている。
電子タバコはもはや隙間商品ではないと彼とその他の研究者らは指摘している。
昨年の電子タバコ製品の販売額は推定17億ドル(約1,700億円)に達したと、メリーランド州、ロックビルにある食品医薬品局(FDA)のタバコ製品センターのリルン・チェンとコリン・ハステンは、電子タバコに関する『タバコ管理』の5月特別号で報告している。
電子タバコの販売額は10年以内に従来のタバコの販売額を超えるかもしれないと両著者は報告している。
米・疾病管理予防センターによれば、少なくとも喫煙者の5人に1人、米国の高校生の10%は電子タバコを試みたことがある。
電子タバコは250以上の異なるブランドが市場に出ており、多くの溶剤が用いられ、装置からベーパー(蒸気)を発生させている。Librakv/iStockphoto
これらの人々は、電子タバコの使用は安全であると考えているかもしれないが、米・食品医薬品局(FDA)はそのようなことを確立しているデータを見たことがないと、同局のプリシラ・キャラハンライオンは同じジャーナルの中で書いている。
彼女は、電子タバコのベーパーに関する18の研究のデータをレビューし、ほとんどの電子タバコが少なくとも、ニコチンとフレーバーが溶解している微量の溶剤を含んでいることを発見した。
これらの溶剤は肺刺激物質であることが知られていると、彼女は報告している。
そしてその溶剤は、もっと厄介なあるものに変わることができる:カルボニル化合物である。
このグループには、ホルムアルデヒドのような既知の発がん性物質、及びアセトアルデヒドのような発がん性が疑われる物質がある。
初期の電子タバコは、従来のタバコの燃焼と同様な強力なニコチンの一撃をもたらさなかったので、技術者らは、使用者が電子タバコの電圧を、従って温度を高め、一服当たりのニコチンをより多くするよう調整できる第二世代の技術を開発した。
しかし高い温度はまた、溶媒の熱分解の引き起こしてカルボニル化合物を生成すると、ニューヨーク州バッファローにあるロスウェル・パークがん研究所のマシ・ゴニエウイクスは説明する。
もし、第二世代の電子タバコの使用者が、グリセリンとプロピレングリコールの溶剤混合物を含む電子タバコ用液体を使用して装置のパワーを最大にすれば、ホルムアルデヒドのレベルは従来のタバコの煙に見出されたレベルに達することができると、彼のチームは5月15日に『Nicotine & Tobacco Research』に発表した。
煙の中のそのような化合物は、それらがずっと肺にまで達するかどうかが主要な懸念である。多くの生物学者らは、粒子のサイズと数が重要だと考えていると、グランツは述べている。
電子タバコ使用者(Vapers)は、莫大な数の非常に小さなエアゾル-空気を体内に送り込むのに重要な肺の気道の最も薄い内面に沈着する最も有毒なサイズ-を吸入することがあり得る。
電子タバコでの吸入粒子径の中央値は、ノースカロライナ州リサーチ・トライアングル・パークにあるRTI インターナショナルのジョナサン・ソルンブルグらの非公式なデータに基づけば、約 200 から 300 ナノメートルである。そのサイズは、従来のタバコの煙と肩を並べるものであるとソルンブルグは述べている。