・効果的な法律の範囲
原則
第8条では、(1)屋内の職場、(2)屋内の公共の場、(3)公共輸送機関、および(4)「必要に応じて」「その他の公共の場」において、たばこ煙にさらされることから人を保護する効果的な対策を執るよう義務付けている。
こうして、すべての屋内の公共の場、すべての屋内の職場、すべての公共輸送機関、および場合によってはその他の(屋内または半屋内の)公共の場が二次喫煙の煙にさらされないようにすることによって万人に普遍的な保護を与える義務が定められている。
健康または法律を論拠とする場合は、いかなる免除も正当化されない。
その他の論拠によって免除を考慮しなければならない場合は、その免除は最小限に留めるべきである。
また締約国が直ちに普遍的保護を提供できない場合、すべての免除をなくし普遍的保護を与えられるようにできる限り速やかに措置を講じるという継続義務が生じる。
各締約国は、WHO枠組条約がその締約国で発効してから5年以内に、普遍的保護を提供できるよう努力すべきである。
二次喫煙の煙にさらされることに安全なレベルというものはなく、締約国会議のFCTC/COP1(15) 決議で以前に認められたとおり、通風、空気の入れ替え、喫煙指定区域の適用などの技術工学的なアプローチでは、たばこ煙にさらされることから保護することができない。
職場で使用されている自動車(タクシー、救急車、運送車など)も含め、屋内または周りを囲われたすべての職場で、保護を与えなければならない。
本条約の規定では、すべての「屋内の」公共の場だけではなく、「適切」な場合には、「他の」(すなわち屋外または半屋外の)公共の場においても保護対策を講じることを義務付けている。
法律が該当するところでは、このような屋外または半屋外の公共の場を特定する際に、締約国は様々な状況で起こりうる健康被害についての証拠を検討し、危険が存在することが証拠によって明らかな場所では必ず、たばこの煙にさらされることから最も効果的に保護する方法を取るよう行動しなければならない。
支持を取り付け円滑な実施を保証するため、公衆に情報を与え、その意見を聞き、参加を仰ぐ
法律の制定について公衆の理解と支持を得るため、継続的な情報キャンペーンを通じて、公衆やオピニオンリーダーに二次喫煙の煙にさらされることの危険性について理解を深めてもらうことは、政府機関が市民社会と提携して行うべき重要な役割である。
主なステークホルダーとしては、事業、レストラン、サービスなどの組合、雇用主団体、労働組合、マスコミ、医療専門家、児童や青尐年を代表する組織、教育機関または宗教団体、学界、および一般公衆が含まれる。啓発活動には、法律策定の過程で影響を受ける事業やその他の組織や機関との協議なども含むべきである。
主要メッセージとしては、二次喫煙の煙にさらされることによって生じる弊害、曝露から完全に保護されるには屋内での喫煙をやめることが科学的根拠に基づく唯一の解決法であるという事実、すべての労働者が法による保護を平等に受ける権利、多くの法域で無煙環境は健康と経済の双方にメリットがあることが経験上明らかになっているため、健康を取るか経済を取るかという問題ではないという事実を重点的に伝えるべきである。
学校教育キャンペーンでも、個人の家庭など、法律を実行できないか、あるいは法律が不適切となる可能性のある場所を重点目標にすべきである。
地域社会を教育し動員するには、また法律制定後もその法律への支持を推進していくためには、ステークホルダーとの幅広い協議も不可欠である。法律策定後は、法律が実施されるまで情報提供キャンペーンを行い、事業所有者や建物管理者にその法律の内容や責任についての情報を提供し、標識などの資材の制作を行わなければならない。
このような対策によって円滑に実施され、自発的な遵守レベルが高まる可能性が大きくなる。
非喫煙者には自信を与えるメッセージ、喫煙者には法の遵守を感謝するメッセージを与えることで、法の施行と円滑な実施に公衆の参加を促すことになる。