Q. どの程度の濃度になると健康影響が生じますか。
A. 微小粒子状物質(PM2.5)の環境基準(人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準)として「1年平均値が15μg/m3 以下であり、かつ、1日平均値が35μg/m3以下であること」と定められています。
環境省が平成25 年2月に設置した「微小粒子状物質(PM2.5)に関する専門家会合」では、健康影響が出現する可能性が高くなると予測される濃度水準として、注意喚起のための暫定的な指針となる値を1日平均値70μg/m3 と定めています。
但し、呼吸器系や循環器系の疾患のある者、小児や高齢者などでは、個人差が大きいと考えられており、これより低い濃度でも健康影響が生じる可能性は否定できないとされています。
この暫定的な指針となる値については、今後新たな知見やデータの蓄積等を踏まえ、必要に応じて、見直しを行うこととしています。
Q. 平成25 年1月の中国の大気汚染の際には、日本で濃度上昇がみられたのですか。
A. 日本国内では、西日本の広い地域で環境基準を超える濃度が一時的に観測されましたが、全国の一般測定局における環境基準の超過率について、平成25 年1 月のデータを平成24 年や平成23 年の同時期と比較すると、高い傾向は認められましたが、大きく上回るものではありませんでした。なお、これまで取り組んできた大気汚染防止法に基づく工場・事業場等のばい煙発生施設の規制や自動車排出ガス規制などにより、微小粒子状物質(PM2.5)の年間の平均的な濃度は減少傾向にあります。
Q. 中国の大気汚染による日本への影響は、どの程度ですか。
A. 平成25 年1月の日本における一時的なPM2.5 濃度の上昇については、西日本の広い地域で環境基準(日平均値)を超えるPM2.5 が観測されたこと、都市汚染の影響の少ない九州西端の離島にある国立環境研究所の観測所でも粒子状物質の濃度上昇が観測され、その成分に硫酸イオンが多く含まれていたこと、国立環境研究所の推計(シミュレーション)結果によると北東アジアにおける広域的なPM2.5 による大気汚染の一部が日本にも及んでいること、などから総合的に判断すると、大陸からの越境大気汚染の影響があったものと考えられます。
一方、PM2.5 は通常でも我が国の大気中で観測されており、濃度上昇は都市汚染による影響も同時にあったと考えられることから、平成25 年1月の事象は大陸からの越境汚染と都市汚染の影響が組み合わさっている可能性が高いとされています。
越境汚染による影響の程度は地域や期間によって異なるため、その程度を定量的に明らかにするには詳細な解析が必要です。
Q. 季節によってPM2.5 濃度は変動しますか。
A. 例年、冬季から春季にかけてはPM2.5 濃度の変動が大きく、上昇する傾向がみられ、夏季から秋季にかけては比較的安定した濃度が観測されています。
Q. 「暫定的な指針となる値」には、どのような意味がありますか。
A. 環境省が平成25 年2月に設置した「微小粒子状物質(PM2.5)に関する専門家会合」において設定された暫定的な値であり、国内外の疫学研究結果等に基づいて注意喚起のための目安として設定されたものです。
Q. 「暫定的な指針となる値」を超えた場合は、注意報や警報が発令されますか。
A. 専門家会合において、暫定的な指針となる値としての1 日平均値70μg/m3 に対応する1 時間値85μg/m3(5~7時の1 時間値の平均値)、1 時間値80μg/m3(5~12 時の1 時間値の平均値)を超えた場合は、都道府県等が注意喚起を行うことを推奨しています。ただし、この値は光化学オキシダントの場合のような法令に基づく措置ではないので、注意報や警報は発令されません。
Q. 「暫定的な指針となる値」を超えた場合は、どのようなことに注意すればよいですか。
A. PM2.5 濃度が暫定的な指針となる値を超えた場合には、その吸入を減らすため、屋外での長時間の激しい運動や外出をできるだけ減らすことは有効です。
その際、屋内においても換気や窓の開閉を必要最小限にするなどにより、外気の屋内への侵入をできるだけ少なくする必要があります。
特に呼吸器系や循環器系の疾患を有する者、小児、高齢者などは、より影響を受けやすい可能性があるので、普段から健康管理を心がけるとともに、体調の変化に注意することが大切です。
また喫煙により、室内のPM2.5 濃度が大きく上昇することが知られています。