・出典:食品・薬品安全性研究ニュース
http://www.jpha.or.jp/jpha/jphanews/anzensei.html
・米国ベビーフードのダイオキシンレベル
Dioxins in commercial United States baby food
ダイオキシンは化学合成やごみ焼却により非意図的に発生する副産物であり, 残留性が高く, 有害な塩素系化合物である.
現在, すべてのヒト組織中に検出され, そのレベルは開発途上国よりも工業先進国で高い.
ダイオキシンはヒトの発癌, 内分泌撹乱, 中枢神経系への副作用, 生殖毒性および発生毒性の原因になると考えられている.
WHO は, ダイオキシンの許容1日摂取量を体重 1 kg 当り1~4 pg 毒性等量 (TEQ) としているが, 米国 EPA では 0.1 pg/kg TEQ を参照値としている.
通常, ヒトのダイオキシン摂取は, ほとんどが食物に由来し, 特に肉, 魚, 乳製品の寄与が大きい.
米国の食肉中ダイオキシンレベルは全重量ベースで 28~540 ppq TEQ との報告があるが, 市販のベビーフードについては報告がなかったことから, 本研究で調査した.
Nebraska, California, Georgia, New York, Pennsylvania, Maryland の各州の都市で肉類を含むビン詰めベビーフードを1998年に購入した.
これらはチキン, ターキー, ビーフ, ラムおよびハムを含む3社の製品で, 各州から3~6, 合計24すべてロットの異なるものをプールして測定試料とし, 食物・ヒト組織のダイオキシン分析に関して WHO 認定機関であるドイツ Hamburg の ERGO 試験所において高分解能ガスクロマトグラフィー/高分解能マススペクトロメトリーにより, 7種のポリ塩素化ジベンゾ-p-ジオキシン異性体 (PCDD), 10種のポリ塩素化ジベンゾフラン異性体 (PCDF) および3種のコプラナー PCB 異性体 (co-PCB) を定量した.
ベビーフードのダイオキシン TEQ は湿組織重量当り28~226 ppq (チキン: 77~226 ppq, ターキー: 102~124 ppq, ビーフ: 78~149 ppq, ラム: 28~30 ppq, ハム: 28 ppq) と大幅な変動があり, ターキー, ビーフ, ラムおよびハムの TEQ に占める co-PCB の割合は PCDD/Fs より大きかった.
予想通り, ダイオキシン濃度と脂肪含量とに正の相関が見られた.
このように1998年における米国市販の肉入りベビーフード中ダイオキシンレベルは, 市販の肉類のレベルよりも低かったが存在はしていたので, 幼児への悪影響を懸念される向きもあろう. 米国農業省および Gerber 社の調査によれば, 通常, 1才未満では肉はあまり食べないことが示されているが, 更に大がかりな調査が必要である.
Journal of Toxicology and Environmental Health, Part A 65: 1937-1943 (2002)
Schecter A1, Wallace D2, Pavuk M1, Piskac A1 , Päpke O3
(1テキサス大学 公衆衛生学部, Dallas, TX, 2消費者組合, NY, USA; 3ERGO 試験所, Hamburg, Germany)
runより:化学物質過敏症が増えた原因はまだ解明されていませんが時代がどう変わったか?というのも考えに入れておきたいですね。
尤も化学物質過敏症になる人はなるんですけど・・・。