ポリ塩化ビフェニル類等の小児の生下時体重, 免疫機能および甲状腺機能 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典:食品・薬品安全性研究ニュース

第41号
http://www.jpha.or.jp/jpha/jphanews/anzen_news/41.html#1

ポリ塩化ビフェニル類, ジベンゾパラダイオキシン類, およびジベンゾフラン類と小児の生下時体重, 免疫機能および甲状腺機能
Polychlorinated biphenyls, dibenzo-p-dioxins, and debenzofurans and birth weight and immune and thyroid function in children

 PCB 類およびその関連化学物質の子供の健康に及ぼす影響が危惧されているが,これまでのところ,こうした化学物質が健康な母親から生まれた新生児や小児の体重,免疫機能および甲状腺機能に悪影響を及ぼしているという臨床的証拠はない.

論文として発表されている研究をみると,いずれの場合も,妊娠末期に分娩された新生児の生下時体重は正常範囲内であるが,低下していると報告されている.

G. G. Fein らは,EPA の「新生児に及ぼす影響」に報告した「ヒトにおける PCB 類の子宮内曝露 (EPA-600/3-84-060,Environmental Protection Agency,1984)」および J. Pediatr. 105,315-320 (1984) において,比較したグループの間で大きな差があることを報告している.

P. R. Taylor らは,PCB 類の職業的曝露量が異なる婦人の間で新生児体重を比較した結果,PCB 類曝露と新生児体重との関連性は乏しいと報告している (Am. J. Epidemiol. 129,395-406 (1989)). E. Dar らによる,ウィスコンシン州の Green Bay 地域における調査では,魚を多く食べる母親は血清中 PCB 濃度が高く,魚の摂取量と赤ん坊の体重は正の相関があったと報告している (Environ. Res. 59, 189-201 (1992)).

しかし,これは魚介由来の n-3 脂肪酸の摂取量が多かったことによるとも考えられる.S. Patandin らは,母体あるいは臍帯血中 PCB 濃度と母乳および人工乳の混合栄養で育てられた新生児の生下時体重との間には負の相関が認められたが,母乳栄養児のみについて別に解析するとそうした関係は認められなかったと報告している (Pediatr.Res.44,538-545 (1998)).L. Rylander らは,汚染された魚を食べた量が多い婦人程,生まれてきた新生児の生下児体重が低かったと報告している (Scand. J. Work Environ. Health 21,368-375 (1995)).以上のように PCB 曝露あるいは汚染魚の摂取と生下時体重との間に,統一的な関連性は認められていない.また,出生児の甲状腺機能および免疫機能も正常範囲であった.

いずれの報告も検査の正常値を示しておらず,全体的にみると,分散が小さかった場合に統計学的差が生じたものと考えられる.
 Regulatory Toxicology and Pharmacology 34 : 42-52 (2001)
Kimbrough RD, Krouskas CA
(元 健康リスク評価研究所, Washington, DC, USA)